こんにちは、からまるです。
まだこのところのバタバタの余波をくらい、昨日は日記を書けませんでした。
来月の+α新書の新刊にからまるの担当作がラインナップされています。著者は竹中平蔵さん、タイトルは『この制御不能な時代を生き抜く経済学』です。この新刊も、さすが竹中さんと唸らされる情報量の多さと視点の秀逸さを味わっていただけると思います。手応えを感じています。
まえがき冒頭部分をご紹介しましょう。
「日本が世界から取り残され、存在感がどんどん小さくなっている。こうした不安を漠然とでも感じている人が増えているのではないか。ビジネスパースンであれば誰もが実感している通り、中国や韓国、台湾などといった国や地域の激しい追い上げを受けて、かつて世界を席巻した日本企業の旗色が悪い。(中略)一方、「アメリカ・ファースト」を唱え続けるドナルド・トランプ大統領と、その米国と今世紀半ばまでに肩を並べる強国になる構想を掲げる中国の習近平国家主席が、技術覇権を賭けて熾烈な経済競争を繰り広げている。世界経済の先行きはますます予測できないものになっている。(中略)では、日本はこのまま世界の中で経済的地位を落とし続け、埋没してしまうのか。もちろん答えは「否」だ。日本には力もチャンスもある。ただし、それらがじゅうぶんに発揮できていないのだ」
このまえがきの見出しは「「心地よさ」というワナ」にしました。不安を漠然と感じているのに、日本は安全で文化水準が高く、美味しい食べ物がいくらでもあり、住みやすい。何を変える必要があるのだろうか――。「ワナ」とはそういう「心地よさ」があるために危機感がなく、次の時代の競争に太刀打ちできなくなるという意味です。
もしピンと来ないなら、自らが置かれた業界のことを振り返ってみてはいかがでしょうか。ご多聞にもれず出版業界もデータではあきらかに崖っぷちにあります。しかし中にいるからまるたちは、なかなか危機感を抱けない。過去の財産を電子化や版権ビジネスで活用していて、そのかさ上げがあることもあります。しかし新しく作り続けなければ、しかも新しいやり方で取り組まなければ、従来と同じ問題を再生産するだけです。
それぞれの業界全体のことは、さまざまなステークホルダーによる複雑な力学で動いています。変化が激しくなればなるほど、全体の動きは予測不能で、一人一人ではまったくアウト・オブ・コントロールな状況になります。しかし、変化の方向を見定め、何が次の時代をつくるのか見極めなければ、この全体的な負のループから逃れられない。
いかにループから脱するか。これは日本全体の課題でもあり、同時に日本に生きる自分たち一人一人の課題です。経済学とは「共同体のあり方」を考える学問だと竹中さんは本書で書いています。ならば経済学が次の新しい社会をつくるための有用なヒントになるのは明らかです。この時代を生き抜くために、是非ご活用ください。6月21日発売、税抜き価格は840円です!