こんにちは。ビジネス出版部のからまるです。
本当にからまるはうかつ者だなあ、と思いました。仕事でもプライベートでも滅多に誉められたことがないくせに、たまに誉められたのに気がつかないなんて<(_ _)>
1ヵ月以上前に出た神田昌典さん勝間和代さんの『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』(ダイヤモンド社)で、2006年5月に出した『出現する未来』(ピーター・センゲ、C・オットー・シャーマー、ジョセフ・ジャウォースキー、ベティー・スー・フラワーズ著、野中郁次郎監修、高遠裕子訳)を、神田さんが「未来を見通す力をつける6冊」に「今後10年の潮流をなすマネジメント論」として取り上げて下さっていたんです。
「その会社なり組織の構成員が自分の内面を深く掘り下げ、内面を理解したら、そこに様々な可能性が生まれる。その可能性のうち1つを選択することによって未来は生まれる。つまり未来は論理的に作り上げていくものではなく、こうしたプロセスをたどった結果として出現するものなのだ」(中略)
「もちろん方法論はまだ実証していく必要はあるだろうが、論理的なフレームワークはさすがと思わせる。おそらくこの本をきっかけに、いままでとはまったく違うマネジメント論が、これから10年で急速に進むと思う。だから自分自身が高度な経営者になろうと思うなら、この本はぜひ読んでおくべき。何しろこの1冊で経営スタイルがまったく変わるのだから」
うーむ、刊行して2年半近く経って、やっと認められたなあ(≧∇≦)
からまるにとって『出現する未来』は思い入れがある本なのです。4年以上前ですが、「学習する組織」というコンセプトで何冊も本を出して話題になっていたマサチューセッツ工科大学講師のピーター・センゲさんの新しい本はないのかと、当時、アメリカのランダムハウス社に出向していた後輩に問い合わせていたところ、
「からまるさん、ありますよ。しかもランダムハウスからもうすぐ出すんです。でも、とっても変わった本のようですよ」
と返事が来たのです。うーむ、なんと微妙なレスポンス。
取り急ぎ、本ができる前にセンゲさんがかかわるSoL(Society for Organizational Learning)という組織からテキストを有料ダウンロードしてみました。たしかに変わっている。理論的な文章からなる章のあいだに、センゲさん他3人の自由なトークを中心にした物語の章が挟まっているのです。
章の見出しも「レクイエム・シナリオ」とか「結婚式」とか「宇宙との対話」とか、経営学の本としてはあり得ない言葉が次々と登場します。「学習する組織」について書いた主著『最強組織の法則 新時代のフレームワークとは何か』(徳間書店)はもっと経営理論書っぽかったのに。でも面白そう!
しかし、その後、この変化は西欧的な知に行き詰まり感を抱いた著者たちにとって自然な思考プロセスだったことがわかったのでしたが、まあ内容のことはまた改めて触れるとして。。
ニューヨークにいる後輩と連絡を取り、版権獲得。2005年のゴールデンウィークには、休暇でニューヨークに行ったときに、著者の代理人(あの『2001年宇宙の旅』ほか伝説的なSF作品を多くこの世に送り出した大物エージェントでしたね)のオフィスに後輩と訪ね、あいさつ以外は全部、後輩に同時通訳させて本にまつわる情報交換をしてきました。
でもこの本、あんまり売れなかったんです。いい本なのだけど、わかりにくかったでしょうかね。でも、あんまり売れないわりには、読書家の方がたくさん読んで下さったようで、さまざまな読書会で取り上げられているという話をよく聞いたものです。
きっとその頃、神田さんも読んで下さっていたのですね。この本のことは他にもいろいろ語りたいことがたくさんありますので、またそのうち。