こんにちは。ビジネス出版部のからまるです。
昨日は、ある著者の方からマクロ経済指標のいろいろな数字の見方を教わりました。数字というのは読む人が読むと本当に雄弁なものなのですね。
不況期を見比べる意味で、直近(昨年12月)までの1年と、ITバブルが崩壊した後で、りそな銀行の国有化に至る金融危機が始まる前の不況期だった2002年11月までの1年の数字を見たのですが、なるほどねー。
2001年度の有効求人倍率は0.56、完全失業率は5.2%とたしかに悪いですね。半導体集積回路生産高の前年比が2001年度はマイナス36.3%だったところにITバブル崩壊の爪痕が見えます。
しかし鉱工業生産を見ると、当時の製品在庫率が2001年度は111.6と高いことは高いですが、この数字が2008年12月は何と135.2になっているのです。そして、同じ月の生産指数は前年比マイナス20.8%で、これは2001年度で最悪レベルの2002年1月の前年比マイナス15.6%をとうに超えています。しかも2008年12月の集積回路生産指数は前年比マイナス36.9%と、ITバブル崩壊時水準になっているのです。
皆が「大変大変」と騒ぐのも道理です。
在庫については、大手メーカー各社がいま生産をセーブしている影響がそのうちあらわれるだろうということですが、問題は、製品在庫率が減っても生産指数が増えなければ、経済が縮小したままの状態が長期化することになってしまいます。根拠のない楽観に意味はないということを実感しますね。