こんにちは。ビジネス出版部のからまるです。
リセット「講談社BIZ」スタートの6月に、はじめての試みである「雑本」を出します。
タイトルは『経済危機「100年に一度」の大嘘』といいまして、昨年10月23日にアラン・グリーンスパン前FRB議長がアメリカの下院の公聴会で発言した「アメリカは100年に一度の信用の津波(a once-in-a century credit tsunami)に見舞われている」という有名なフレーズは果たして本当なのか、これをいいことに各国政府は金融機関ばかりか一般企業の資本増強にまで公的資金を使おうとしているがこれは正しい政策判断なのか、経済が変質したことは確かだとしても、それは本当に金融に限定される問題なのか、といった問題意識がむくむくと湧いてきて編集しています。このメインテーマをめぐって、本当にうれしいことに、じつに多彩な才能に集っていただくことができました。
その目次は下記のような感じ。メインタイトル/サブタイトル/著者名です。
バブルはまた来る/無知な資本家がカモられ、今度はエコかぶれの年金基金がダマされる/山崎元
国民1人5万円のベーシックインカムで福祉国家と自由主義の融合図れ/「100年に一度」で大ハシャギの経産省はいらない/山崎元×波頭亮
下降社会での3つの方針/100年に一度の国家システムのリストラクチュアリング/波頭亮
「二十一世紀文明構想フォーラム」のキックオフについて/波頭亮
米国経済復活のサインを見逃すな/「典型的なバブル崩壊」からの復活は可能、日本経済の米国頼みは続く/村上尚己
チーム・オバマは成功するか?/回転して落ちてくるナイフのつかみ方/田中秀臣
「つながりと信用」に回帰せよ/ポスト・グローバルモデル構築への鍵/小幡績
真犯人は「金融技術」ではなく「消費の変容」だ/金融機関救済にあれほど巨額の税金を投入する必要はあったのか?/吉本佳生
金融マスコミと金融現場の壁/なぜ伝わらず、なぜ理解されない?/浅田真依子
日本から始めたい新たなルネサンス/無謀な借金の悪循環から脱出せよ/神谷秀樹
この中の「二十一世紀文明構想フォーラム」(波頭亮さんが幹事)で行われた勉強会が、この企画の発端になっているのですが、その他に、この本の読者になってくださると想定しているエグゼクティブの方々にぜひ読んでいただきたい「special features」として、
「マザーハウス」で始めた市場で勝てる「社会起業」ビジネスモデル/消費者に犠牲を求めるな/山崎大祐
ハーバード卒業生、社会起業家となる/チベット発ニットブランド立ち上げ記/マリー・ソー
マーケットデザインが経済を変える/完全競争市場から離れた経済制度の設計/安田洋祐
企業のニューロン[第1回]/なぜあなたの部下「だけ」仕事ができないのか?/高田貴久
「雑誌」ならぬ「雑本」とからまるが言いたくなる気持ちをわかっていただけたでしょうか?
そして、この「雑本」のシリーズタイトルは「CONUNDRUM」。「コナンドラム」と呼びます。
知る人ぞ知るこの言葉もグリーンスパンがらみで、著書「The Age of Turbulence: Adventures in a New World」(翻訳は『波乱の時代』)第20章の見出し「THE "CONUNDRUM"」によっています。コナンドラムとは、一般には「謎」「なぞなぞ」という意味だそうですが、グリーンスパンがFRB議長時代に従来の金融政策では説明できない市場の異変を喩えて使い、これも一種の金融界の流行語になったのです。「世界経済の謎」をこの本は解き明かします!