「オバマがヒロシマ・ナガサキで謝罪するベストの表現は何か?」まで飛び出した「ハーバード白熱教室インジャパン」ヒートアップ劇場!

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こんにちは。講談社BIZのからまるです。

昨日は東大安田講堂で開催された、NHKと東大共催のマイケル・サンデル教授来日特別講義「ハーバード白熱教室インジャパン」に参加してきました。それはもう、大変に希有な経験でした。

参加者は全部で1000人くらいだったそうです。ざっと見て、東大はじめ大学生が三分の一、からまるたちNHKの一般公募に応募したのが三分の一、あとの三分の一はNHKの招待、東大はじめ大学・学界関係者、プレスという構成だったでしょうか。

主催者側のいくつかの挨拶のあと、サンデル教授が登場すると、その瞬間からその場はテレビで見た「ハーバード白熱教室」の雰囲気に一変しました。サンデル教授はこんな話から始めました。

「私の友人は日本人はシャイ過ぎて自分の考えを大勢の前で発言するなんてできないと言っている。私の不安を解消するために、まずお訊きしたい。自分はシャイで討論に参加できない人は手を挙げてほしい」

ここでどっと笑い。そういう人がわざわざ応募するわけがありません。

「本当に? そのわけを誰か説明してほしい」

早速挙手した学生が英語でこう答えます。

「私たちはニュー・ジェネレーションだからです」

最後まで聞いた後になって振り返ると、まるでこれは構成台本でもあったのかと思うほどうまくできたスタートの発言だったように思います。

一昨日にからまるが書いたプログラムはすべて変更になっていました。前半では子供虐待や行方不明高齢者を例にとって個人主義と共同体の問題を、後半ではオバマの登場をどう見るか、という予定だったのですが、結局はもっと著書『これからの「正義」の話をしよう』の内容やテレビ「ハーバード白熱教室」でも取り上げていた内容に即したものになりました。

前半では本の第一章「正しいことをする」の正義をめぐる三つの考え方「幸福、自律と自由、目的と美徳」、第三章「私は私のものか?」の貧富の格差と課税による再分配の正義、第七章「アファーマティブ・アクションをめぐる論争」の大学入学の競売の話が議論されました。貧富の格差でイチローとオバマの収入のちがい、入学の競売では東大入学が例に出て、そのへんは日本の状態に合わせてきていますが、アメリカほど収入の違いや人種や宗教などで深刻な対立を内部に抱えながら議論が進む本場のハーバードとは、議論の質の良さは変わらないにしても、深みが違うなあというのが率直な印象でしたね。

ところが後半。本の第九章「たがいに負うものは何か?」に即した内容で、とくに戦争責任の議論で会場がこれまで以上にヒートアップしました。中心となって発言した学生たちに、東アジアの国々に謝罪すべきかをめぐって、すでにその責任はないのか、まだ存在するのか、こんなに熱い議論になるほど関心があるとは、からまるは思ってもいませんでした。本当に驚きました。自らを「ニュー・ジェネレーション」と名乗る世代、それは学生たちの質問の半分が流ちょうな英語でなされたことからもわかるグローバリゼーションの世代と言い換えていいかもしれませんが、その感性を垣間見たような思いがします。

戦争責任は日本だけが負っているのではありません。たとえばアメリカだって、日本に落とした原爆の是非について責任があるはずです。お互いに謝罪し合うべきではないのか。そういった発言が相次ぎます。その流れを見て最後にサンデル教授が放った課題が、

 

「オバマがヒロシマ・ナガサキで謝罪するベストの表現は何か?」

 

この難問に直接答えられる人はいませんでしたが、会場の若い世代の心をがっちり掴んでいましたね。最後に指名された人が広島ご出身で、その思いを語っておられました。

気が付けば、前半70分、後半70分の予定だったものが、前半90分、後半100分に及ぶ大講義となったのでした。終了後は全員スタンディング・オベーションで、拍手はいつもでも鳴り止みませんでした。

この話題は明日また書きますね。

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このページは、karamaruが2010年8月26日 15:59に書いたブログ記事です。

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