「自分の信じることに、人は過剰な自信を持って取り組むべきだ」

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こんにちは、からまるです。

先週のエントリの続き、超大型新人・正木静修さんの『マントラを掲げよ 信念を戦略に変える力』の話題です。

主人公のコンサルタント・黒見が衝撃の出会いを果たした人物とは、黒見が入社した「TV・ホーム・ショッピング社」を後に買収することになるメディア・コングロマリットのフリーダム・グループ会長、スコット・ミラーなる人物です。希代のメディア王とも、逆に悪の帝国のダースベイダーとも呼ばれる米国メディア再編のキーマン。その人物に黒見は会社案内をし、投資を受けるためのプレゼンをします。

一通り終わると、黒見はミラーのリムジンカーに呼ばれ、二人きりで話を交わします。ミラーはそこで独特のビジネス哲学を開陳します。それが「マントラ」なのです。


「(勝算が)70%ならやるべきだ。ビジネスというのはそういうものだ。君はマントラを知っているか?」
「マントラ?」
 僕は初めて聞く言葉に少し戸惑う。
「簡単に言うなら、自分の信念や主義、持論だ」
 僕は天井に目を向けながらそのミラーの言葉を反芻する。
「自分の信じること、すなわち一度掲げた″マントラ″に対して、人は過剰な自信を持って取り組むべきだ。それが組織を導くストーリーとなり、成功を導く戦略となる」
(第一章 痛みを癒す)


ミラーが持つもう一つの哲学が、「サヨナラホームランの美学」です。結果よければすべてよし、顧客の度肝を抜くような圧倒的な成果を、顧客が予想もしないタイミングで繰り出す。その強烈なインパクトが顧客やライバルを惹きつけてやまなくなるというのです。「仲良しクラブ」的護送船団方式とは対極的なビジネス手法です。

もちろん、仲良しクラブでやっていけるビジネスや業界であれば、昔ながらのお互いに突出しない(させない)護送船団方式も成り立つのかもしれませんが、メディア業界で仲良しクラブをやっていたら全員が衰退してしまいます。この業界では、誰よりもインパクトを与えるサヨナラホームランバッターに評価と仕事が集中し、その人は圧倒的な成功をおさめていきます。日本の通信業界なら、誰でも咄嗟に、あの「犬のお父さん」のオーナー経営者の顔を思い浮かべますよね。

そうした「インパクトを与える」コツが、BIG  THINKなマインドセットでマントラを掲げることなのです。ミラーはこう教えます。


「平均点の仕掛けを狙わず、一発ホームランを狙うにはどうすればよいか君はわかるか?」
「いえ......」
「世間一般で誤って認識されていることは、この一発ホームランは、誰もがなしえることができるものではないという考え方だ。だが、自分のマインドセットを、THINK BIGな発想から来るマインドセットに置き換えることで、実は誰にでも実現可能となる。″マインドセットはTHINK BIGである″と肝に銘じると、口を突いて出てくる言葉に自分の描く夢が乗り、情熱がこもる。それは君にとって大切な信念となる。そしてその信念が君に何が本物なのかを見極めさせ、他者には訪れることがない運命を引き寄せることを許す。そのマントラを掲げるのがコツだ」
(同上)


ミラーが黒見のいたテレビ通販会社を買収した後も、そしてその会社を辞めて黒見がコンサルタント会社を設立した後も、黒見はこの教えビジネスに生かしていくのですが、そこに大きな壁が立ちはだかります。日本の伝統的な大企業です。

ビッグビジネスをしている。立派な社是も戦略もある。人材もいる。キャッシュもある。しかし、事なかれ主義が組織内に蔓延し、新しい挑戦に対しては「できない理由」ばかり探す有能な大企業エリートたち。かれらが新しい時代に必要な変化を妨げる存在となって、本来は素晴らしい資質を持つ大企業を、ゆっくり衰退に向かわせているのではないか。かれらは本来その企業が持っていた素晴らしいマントラを見失っているのではないのか。戦略は一見よくできているが、組織の人間たちが心から納得できるものになっていないのではないか。黒見はその点をクライアントとなった企業の担当者に向かって執拗に問い質していきます――。

このブログ記事について

このページは、karamaruが2012年3月 5日 19:15に書いたブログ記事です。

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