「サムライ」とは誰で、「愚か者」とは誰のことか?

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こんにちは、からまるです。

昨日のエントリの続き、山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』のタイトルの意味について。じつはこれは単純で、からまるが原稿を読んでもっとも印象に残ったフレーズから採ったのです。そのフレーズが次の部分です。


「この席でウッドフォードが少しだけ感情を込めて私に尋ねたことがある。
「日本人はなぜサムライとイディオット(愚か者)がこうも極端に分かれてしまうのか」
身の危険を顧みずに不正を追及しようとするサムライもいれば、遵法精神に欠け不正を働いたり、何の疑問も持たずにこれを幇助したりするイディオットもいる。あるいは不正を働いた企業側に回って正論に耳を塞いでしまう金融機関もイディオットに分類されるかもしれない。
私はついにウッドフォードの問いに答えられなかった。両極端に分かれてしまう理由を並べ立てようと思えばいくらでも並べられるだろう。しかしどんな答えを並べても、ウッドフォードを納得させられるとは思えなかったからだ」
(第七章 官製粉飾決算)


では、誰が「サムライ」で、誰が「愚か者」なのか。それを知るには本を読んでいただく以外にありませんが、すでにご想像のように、内部告発に立ち上がったオリンパス社員たちこそ本当の「サムライ」です。問題の3社買収を決めた2008年2月22日の取締役会に出席し、賛成したほとんどの役員たちはどうか。損失隠しを行った菊川元会長ら3人は逮捕されました。また、他の役員も善管注意義務違反を問われ、株主代表訴訟を起こされています。しかし、役員以外の幹部社員は、荷担の程度はわかりませんが、不正の事実に頬被りしたとは言えないでしょうか。山口さんに最初の情報提供をしたオリンパス社員さえ不正買収の事実を知っていたわけですから。

こうしてメインタイトルは『サムライと愚か者』に早々に決まったのですが、これではオリンパス事件の本であることがわからないので、サブタイトルをどうするか考えました。「オリンパス事件」を入れるとしても、何か加えたい。山口さんがオリンパス事件を追及したわけですから、「追及オリンパス事件」とするのがもっとも自然かもしれませんが、昨日のエントリで書いたように、この原稿が持つ、経済ノンフィクションを超えた社会派サスペンスのエンターテインメント性がうまく伝わらないような気がしました。また、ウッドフォード元社長と菊川元会長の深刻な対立は、後に経営権を巡る委任状争奪戦に突入しかかったくらいの文字通りの暗闘と化しましたし、その暗闘は社内のあちこちに亀裂を引き起こしました。取材者である山口さんと被取材対象であるオリンパス経営陣の暗闘でもありました。そのことをタイトルにどうしても盛り込みたくて、『暗闘オリンパス事件』というサブタイトルになったのでした。

じつは、この「暗闘」には、もう一つの意味が隠れています。その「暗闘」とは何か、それはまた明日!

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このページは、karamaruが2012年3月28日 15:18に書いたブログ記事です。

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