karamaru: 2012年4月アーカイブ

こんにちは、からまるです。

昨日は小沢一郎元民主党代表の裁判の判決があり、朝からテレビを注視しました。そして今日、たまたま衆議院議員会館で、さる代議士の方と打ち合わせがありまして、会館はどんな感じなんだろうと期待して行ったのですが、けっこうしーんとしていましたね。今の議員会館は建物が大きすぎてしまって、あんまり人の気配がしないせいかもしれません。

お会いした代議士の方は、いわゆる「小沢さんとは距離を置く」立場にいらっしゃるため、民主党の代表と幹事長が小沢さんを党のどんな役職につけるのかに注目していました。たしかにこれは、たんに政党内部だけの問題ではないですよね。

 *    *

早くも来週はゴールデンウィークです。からまるは1日だけ会社に来れば済みそうですが、あとの日は山ほど本を読まなくてはならず、今年もどこにも出かけられません。日記再開は5月7日です。よい連休をお過ごし下さい!

今日はお休み!

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......でした。昨日お知らせし忘れました。また明日!
さよならヴァニティー帯つき.jpgのサムネール画像こんにちは、からまるです。

会社のパソコン入れ替え作業がありまして、今日から新しいレノボのパソコンになりました。まだキータッチが慣れなくて、思い通りに作業が進みません。。なんてマシンのせいにしちゃいかんでしょうが。

さて、今日はお知らせです。『さよならヴァニティー』の著者で、いまNHK大河ドラマ「平清盛」の人物デザインで何かと話題が多い柘植伊佐夫さんのトークセッションが開催されます。日時は5月10日午後7時半から、場所は聖地・ジュンク堂池袋本店4階のカフェです。題して、


『さよならヴァニティー』(講談社)刊行記念トークセッション
デザインで「ひと」は変わる! デザインで「あなた」も変われる! 「龍馬伝」「平清盛」人物デザイン監修者が、その舞台裏と方法論を語り尽くす。

福山雅治さんも、本木雅弘さんも、松山ケンイチさんも、AKB48も、柘植伊佐夫さんの手にかかると、ご本人が驚くほど新しいキャラに変わった――。


どうでしょう。何か、聞きたくなってきませんか?

ゲストに柘植さんとは以前からのお知り合いで、ミュージシャンそしてラジオパーソナリティでも活躍中の、ちわきまゆみさんをお招きして、柘植さんの話を存分に引き出していただきます。入場料はコーヒー付きで1000円。お仕事帰りの寄り道に、または飲み会の前の景気づけに如何でしょうか。

柘植さんのカッコよすぎる仕事ぶりを是非一度、ご覧下さい!
書き込みが遅くなりました。勘弁しておくれやす。
こんにちは、からまるです。

サムライと愚か者朝日書評.jpg
山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の書評が朝日新聞4月22日付け読書面にデカデカと掲載されました。見出しは「企業に迫る内外からの闘い」。評者は朝日新聞編集委員の原真人さんです。どうもありがとうございました<(_ _)>

先週のアサヒコムで掲載が予告されていたのを知ったあと、どうも朝日新聞の編集委員の方が書くらしいという情報が入り、内心ビビったのです。じつは『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』には朝日新聞の記者にとってあまり愉快でないことも書いてありまして、これじゃあ朝日に書評が載るなんてあり得ないよなーと思っていました。そのため、真っ向批判でも浴びせてくるのかな、でもそのためにわざわざ書評なんて書かないだろうと、内容を予想するだけで胸中複雑なものがありましたが、実際に掲載された書評を見ると、それはたんなる杞憂でした。それどころか、書評の最後はこう結ばれています。


「2人が危険を冒し、事件と格闘している当初、マスコミが長く沈黙したことが、いかに彼らをしょげさせたか。それは新聞人の一人として、きわめて重く、適切な指摘だと受け止めざるをえない」


自省の言葉と受け取れますが、で、でもここまで書いて大丈夫ですか、原さん。個人的見解ということなのでしょうが、会社批判と受け止める人が社内にいやしないかと。朝日新聞さんは風通しのいい組織だと信じていますが。

この書評はマイケル・ウッドフォードさんの『解任』(早川書房)とのカップリングになっていまして、見出しにある「内外」の「内」とはウッドフォードさんのことを指しています。本を売る側から言えば、ホントは単独書評のほうがよかったんだけどなー。書くほうは「二つの回顧録は図らずも一対のプロットのようだ。別々の視点から同時進行で描いたミステリー小説のようなのだ」と面白く書けるのでしょうが、二つあると、読んだ人はどっちを読んだらいいんかい?と迷ってしまうと思うんですよね。まあでも、紙面構成を見ると、こういうときは長いタイトルのほうが目立ちますし、表紙の写真もこちらが上になっているので、早川書房さんのほうが「えーっ!?」と思われたかもしれません。
こんにちは、からまるです。

サムライと愚か者.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像
山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の書評が「FACTA」5月号に出ています。この書評がすごくいいんですよ。からまるは何度も読み返しては感動しています。筆者の高田昌幸さん曰く、


「「会社のため」「家族のため」。そういった美名の下で、いったいあなたは日々何を為しているのか、為していないのか。事件とは無縁の読み手に対しても、それを何度も問うてくる」

「組織に属する取材者であっても、調査報道は孤独だ。まして山口氏はフリー。減る一方の預金残高を気に掛けながら、尾瀬で聞いた言葉の意味を追い続ける。オリンパス事件の取材過程に引き込まれて読み進めるうち、終盤になって読者は気付くはずだ。孤独だった山口氏には、いつの間にか「仲間」が増えていることに。「仲間」の多くは、オリンパスの再生を願う社員など名も無き人々であることに」


本当にその通り。本の中に「立ち上がる内部告発者たち」という項目の場面があるのですが、ここは経済ノンフィクションにしては珍しく涙をさそいます。高田さん、どうもありがとうございました<(_ _)>

また、愛読者カードもたくさん返ってきています。そのごく一部をご紹介しますね。


「これからが大変だと思いますが、真実を追い続けるジャーナリストでいてください。山口さんのような記者がひとりでもいれば、正しく記事を読むことのできる読者も増えると信じます」(45歳・女性)

「取材報道で真実に迫ろうとする筆者の姿に感動した。読んでいてジャンルは違うが約40年前、当時の田中総理の金脈問題を追及した立花隆氏を思い出した」(64歳・男性)

「夜中、眠れずに一気に読んでしまいました。会社員経験のある人なら、だれでも「おかしいぞ、何やってんだろうか」と不平不満は山ほどあります。生活のため、給料もらっているため、ガマンし、告発できない。爽快な顔をしたサラリーマンがいない理由ですね」(60歳・女性)

「渾身の取材と執筆に敬意を表します。パンドラの箱が開いた時の達成感とともに、同時に目の前に現れたドロドロの現実を味わった悲しみ、そして問題ありの事後処理への虚しさにも共感させていただきました」(58歳・男性)


ご購読いただいた皆さん、本当にどうもありがとうございます<(_ _)><(_ _)>

朝日コムによれば、明後日22日には朝日新聞の読書面に書評が掲載される予定です。
こんにちは、からまるです。

ニコ生オリンパス.JPG
昨晩はニコニコ生放送「オリンパス元社長ウッドフォードが全てを語る。」に立ち会ってきました。場所は六本木スタジオです。写真は開始直前のドワンゴの方々との打ち合わせの場面で、着席している左から山口義正さん、田原総一朗さん、マイケル・ウッドフォードさん、ミラー・和空さんです。ウッドフォードさんは写真で見るとそんなでもないのですが(失礼)、実物はかなり長身で、スーツの着こなしに乱れがない英国紳士という感じで、じつにカッコよかったですね。

田原さんがオリンパス事件発覚から現在までをインタビューでざくざく斬り込むスリリングな展開となり、視聴者は累計2万人を超えました。田原さんは山口さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の宣伝も手伝ってくださったのですが、その本に「深町」という仮名で登場する、事件発覚のきっかけとなった社内資料を山口さんに手渡した最初の内部告発者に、ウッドフォードさんはひじょうに深く感謝しておられました。また、ウッドフォードさんの行動を支持するかどうかというアンケートが番組の最後に行われ、83パーセントが支持するという結果になりました。田原さん、ウッドフォードさんが乗り移ったかのような熱気あふれる通訳に尽力された和空さん、ドワンゴの方々、本当にどうもありがとうございました<(_ _)>

明日はいよいよオリンパスの臨時株主総会で、新しい経営陣の承認が議題となります。国内機関投資家はメインバンクをはじめ賛成なのに対して、外国人の株主はいっせいに反対しているようです。いったいどんなバトルが繰り広げられるのでしょうか。

読者の方々からの反響もぞくぞくと来ています。それはまた明日、ご紹介します!
こんにちは、からまるです。

オリンパス元社長のマイケル・ウッドフォードさんが昨日、来日しました。そして今夜、ニコニコ生放送に出演します。田原総一朗さん、そして『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の山口義正さんと鼎談をするという企画なのです。名付けて「オリンパス元社長ウッドフォードが全てを語る」。「現代ビジネス」とのコラボです。

からまるも山口さんのお伴でついていき、現場で見ることになっています。はたしてどんな爆弾発言が飛び出すのか?

今夜21時からの90分です!
こんにちは、からまるです。

今まで左手を腰に当てて右手人差し指で先輩を威嚇していたのを、最近はむっつり腕組みをして威嚇するスタイルに変更した口悪後輩が、生意気にもオリンパス事件に一家言ある様子なので、昨晩は神楽崎の安焼き鳥屋で一杯(では済みませんでしたが)飲んだのです。

昨日、書いたように、ちょうどからまるは日本外国特派員協会でのオリンパス事件のパネルディスカッションを見てきたばかり。口悪後輩に教え諭すことにしました。

「そのパネルディスカッションに出ていた外国人記者は、経営陣全員がなあなあでコトを済まそうとし、内部から正そうとする日本人取締役がいなかった状況を見て、日本はやはり法治国家じゃないなと思っているフシだったよ。日本企業は中国の国営会社並みということかね。ガバナンスがまともにはたらかないのは、そりゃマズイよね。最後に質問に立った記者は、オリンバスの飛ばしを指南したグループとYAKUZAとの関係はないのかと、しきりに食い下がっていたしね」

「先輩、役員が内部から正そうなんて、どんな会社だってないっすよ、そんなの。ガバナンスなんて慣れない言葉使うから妙になるんじゃないすか」

「...そんなに言い切っていいのか? 企業は総会屋とは決別できたんだ、自浄機能に期待するのは当然だと思うよ」

「お気楽っすね、先輩は。日本の会社には派閥争いがあるじゃないすか。会社のトップというのは、派閥争いの勝者っす。そしてその他枢要を占める役員は、トップの派閥に属しているわけじゃないすか。そこでガバナンスが大事なんて言うトップがいたら、それは自分には支配力があるよ、と言っているだけっす」

「オリンパスのトップが英国人社長を抜擢したのは、派閥とは関係ないだろうよ」

「だから菊川さんはCEOをウッドフォード氏に渡さなかったんじゃないすか? 支配力が盤石だと思ったからできたことっすよ、きっと」

と言って白レバーをむしゃむしゃ食べる口悪後輩の姿を見て、猿山のボス争いを見ている思いのからまるだったのでした。
こんにちは、からまるです。

特派員協会山口氏.JPG
今日の正午から、有楽町にある日本外国特派員協会で「オリンパス・パネル」というランチ会がありました。パネラーは、民主党の資本市場・企業統治改革ワーキングチーム座長を務める大久保勉参議院議員、自民党政務調査会で企業統治や資本市場法制を担当している柴山昌彦衆議院議員、そして『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の山口義正さん。写真右から二人目が山口さんです。からまるは山口さんの招待枠で会場に入ったのでした。

からまるの席の隣にいらしたのは、山口さんの本でもウッドフォードさんの『解任』(早川書房)でもお馴染みのミラー・和空さんでした。正午から30分間、おいしいランチをいただきながら歓談しました。和空さんは「マスコミの人は、一人ひとりはものすごく優秀なのに、組織になると記事を書かないとか、情報を出さないといった判断になるのはどうしてなのだろう」としきりに悩んでおられる様子なので、からまる流の解釈で答えましたけれど、ますます悩ませるようなことを言ってしまったかなあ。

パネルは3人の短い基調報告と3つの質疑応答で進行しました。二人の国会議員は党はちがっても状況認識は同じでしたね。オリンパス事件は山口さんの書いた「FACTA」2011年8月号の記事が発端になったわけですが、その記事を問題視したのがマイケル・ウッドフォードという英国人でなかったら、こんな大事件にならなかったかもしれません。ある人によれば生粋のジョンブル精神はプリンシプルを大事にすること(My principle)で、それは自己の利益や会社の利益よりも原理原則に忠実にものごとを考え、実行することだそうです。同じことをウッドフォードさんが『解任』でずいぶん書いています。

今回の損失隠しは、もしオリンパスのボードメンバーが日本人だけだったら、なあなあで済む話だったかもしれません。だって、損失隠しをすることによって、うまくいけば関係者はメインバンクを含めて誰一人損しないのですから。バレなければ株主だって損しない。しかし、だからといってバレなければいいのか。損失隠しによってオリンパス株主はもちろん、日本の資本市場に参加している国内外を問わず多くの人々を騙し、その虚偽によって超優良企業に対するすべての人の期待を裏切っていることが、この問題の大きさの本質であるように思います。

日本人だけの経営だったら、なあなあで済んでしまったかもしれない事案という状況認識のためか、国会議員の基調報告は、「独立性」がキーワードになっていました。社外取締役の独立性、会計監査人の独立性をどう担保できる制度にするか。大久保議員は、社外取締役が形式化しているので、実質的に機能することが大事だとコメントしていました。柴山議員は、「トップマネジメントのジレンマ」という言葉を用い、トップは社内のことは知っているが社外のことは知らない、社外取締役は社外のことは知っているが社内のことは知らないので、内部情報に精通したリエゾンがいないと社外取締役は機能しないとし、公益通報制度の実効化が大事だと言っていました。

通報制度について山口さんは、「内部通報の制度がうまく機能すれば、企業統治を強化する」とコメントしましたが、そのとおりだと思いましたね。
こんにちは、からまるです。

オリンパス元社長マイケル・ウッドフォードさんの『解任』が書店さんの店頭にどーんと積まれています。山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の数倍の初版部数なので、ちょっとジェラってその光景を見ていました。

早速、読みましたよ。事実関係の説明としては山口さんの本に書いてあるものと変わらないのですが、さすがに当事者しか知り得ない記述が多く、当事者本としての面白さにあふれています。その166ページに山口さんが登場します。山口さんを紹介して曰く、


「穏やかで控えめな物腰の男でしたが、彼こそが菊川を倒したのです」


これは最大の讃辞と言っていいのではないでしょうか。
歌人で僧侶の福島泰樹さんが、千葉望さんの『共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日』の書評を書いてくださいました! 共同通信から下野新聞など全国各紙に配信されています。


「和服の似合う美貌の著者は昨春、テレビ出演でご一緒した際に「実家には150人もの人々が避難している」と言っていた。1年を経て、その"肉声"を聴くことを得た」

「命の深部、愛別離苦の人間のありようにふれた挿話の数々をつづった本書は、被災地を故郷とする人の、切ない心情が滴らせた血の紐帯のドキュメントである」


まさに。どうもありがとうございました<(_ _)>
サムライと愚か者.jpgのサムネール画像のサムネール画像こんにちは、からまるです。

4月20日のオリンパス臨時株主総会の前になって、先月末に緊急出版した経済ジャーナリスト山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』周辺でいろいろなざわめきが起こっています。

先週はオリンパスの社用封筒に入った匿名の情報提供が編集部に届きました。マイケル・ウッドフォード元社長の告白手記『解任』(早川書房)が昨日発売され(からまるは今朝、買いました)、来週16日の正午からは、日本外国特派員協会で、山口さんと二人の国会議員によるパネルディスカッション、記者との質疑応答が行われます。さらに18日夜には山口さんも出席して「現代ビジネス」主催によるオリンパス問題の討論会も予定されています。

事態は緊迫してきましたね。いろいろまとめてご報告できる日をお楽しみに!
こんにちは、からまるです。

ヘンテコで豪華な作り方をご紹介してきた『さよならヴァニティー』。3人の取材者が原稿を書いたといっても、それを構成し直して、自らの文章に組み立て直したのは柘植伊佐夫さんです。柘植さんはものを書くのが本業でないにもかかわらず、編集部内で本を読んだ編集者が驚くほどきちんとした、しかも上手い文章になっています。

では、柘植さんとは、どんな人?と思う方も多いと思います。たしかに文字通り知る人ぞ知る人物だと言えますが、ここ十数年のあいだに、ヘアメイク、ビューティーディレクション、人物デザイン監修でかかわった代表的な映画やドラマ作品名を挙げると、みなさん「おっ!」と反応するケースが多いですね。

手塚眞監督「白痴」
塚本晋也監督「双生児」
庵野秀明監督「式日」「キューティーハニー」
マシュー・バーニーのアートフィルム「拘束のドローイング9」
レオス・カラックス監督「TOKYO!/メルド」
滝田洋二郎監督「おくりびと」
本木克英監督「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」
中野裕之監督「TAJOMARU」
三池崇史監督「ヤッターマン」「十三人の刺客」
NHK大河ドラマ「龍馬伝」「平清盛」

そうです、からまるも実は大河ドラマの「龍馬伝」を毎週欠かさず見た一人なのです。大河ドラマなんてずっと見ていなかったのですが、この「龍馬伝」はたまたま初回見て、たちまち虜になってしまいました。出演者の良さや時代性、音楽も美しさもありますが、人物たちのリアルな質感も(一部では汚いという評価もありましたが)大きな魅力でした。それを創造したのが、人物デザイン監修を担当した柘植さんだったわけです。

あの仕事には一体どんな背景やロジックがあったのか。まずはそれを知りたいとからまるは思って、本の制作を始めたのでした。
緊急のご報告。佐々木毅さんの『学ぶとはどういうことか』、まだ2刷ができていないのに、早くも3刷決定です!

やったー!!
こんにちは、からまるです。

異例中の異例な本の作り方をした柘植伊佐夫さんの『さよならヴァニティー』、その本文の作り方も異例でした。

あとがきで明示しているように、この本は最初、著者の話の聞き書きから始まりました。こういう場合、出版社は普通、「この本は著者の話をライターがまとめたものです」と本に明示しません。ここだけの話ですが、クレジットのところに「構成」とか「編集協力」とか、たんに「協力」とある場合、多くはそういう作り方をしたと考えて間違いないのですが、「原稿執筆」とは書きません。『さよならヴァニティー』の場合、著者自らが「口述による語り下ろし」と明確に書きました。

それだけではありません。こういう場合、普通は一人のライターさんが質問したり話を聞いたりなどの取材を行って、外注したテープ起こしをベースに原稿をまとめます。それはそうですよね、取材者が異なったら同じことを聞きかねず、取材がたいへん非効率的なものになってしまいます。テープ起こしの代金は時間単価ですし、やはりみなさん、短期間にしゃべりたいと考えるからです。

『さよならヴァニティー』の場合、なんと3人が取材をしています。これは本当に異例のこと。からまるには最初、抵抗感があったのですが、「三者三様のすぐれたバックグラウンドの持ち主から三者三様の質問を繰り返しぶつけられることによって、自分の中のものが、思いも寄らない形で引き出される」という柘植さんの主張に最後は納得しました。

実際、そうなったように思います。今回、快く取材者&ライティングを引き受けてくださった3人、千葉望さん、松村由利子さん、橋本麻里さんは、それぞれが著書を持つ、しっかりしたバックグラウンドの持ち主なのです。

まず千葉望さん。日本文化に造詣が深く、そうです、『共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日』の著者なのです。また、松村由利子さんは毎日新聞の科学記者出身の歌人です。何冊かの歌集とエッセイを出版しています。橋本麻里さんは日本美術に精通した若い書き手です。こんな豪華メンバーがそれぞれ数回、最低でも2時間、最長で5時間ものロングインタビューを行ってくれたのです。いやあ本当にあり得ない!!

3人と柘植さんはもともとお知り合いではありませんでした。4人を結びつけたのはツイッターです。そういう意味では、『さよならヴァニティー』はSNSが作った本ともいえるのです。
共にありて.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像千葉望さんの『共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日』の短評が、本日発売の「アエラ」4月16日号に掲載されました! どうもありがとうございます!

一部を引用しますと、


「東日本大震災を巡る数多の書籍の中にあって、本書の描く被災地がある種の質感を伴って読む人の心に迫るのは、岩手県陸前高田市とそこに根を張る寺をルーツに持つ著者が、いい意味で「手の届く範囲」を丹念に取材して描いているからだろう」


ですよね!
こんにちは、からまるです。

柘植伊佐夫さんの『さよならヴァニティー』の作り方がかなりヘンテコだったことについて、本当は中身の作り方からご紹介するのでしょうが、もう本が書店さんに並んだので、表紙のほうからいきましょう。

さよならヴァニティー帯つき.jpg
この表紙、すごいキレイだと思いません? 世にも美しいタイポグラフィーは、水戸部功さんの手によるものなのですが、全体のクリエイティブ・ディレクションは著者の柘植さん本人が行っています。表紙周りのデザインでこういうことは、普通ありません。著者自ら装幀するケースは、著者自装といって、過去に有名どころでは村上春樹さんの『ノルウェイの森』などがありますが、ディレクションはかなり珍しいケースだと思います。

ご覧の表紙画像だけではわからないのですが、本当に凝っているのは見返しという表紙と本文の間に挟み込まれる紙の部分でして、ふつうは紙を選ぶだけで何も刷らないのですが、柘植さんのアイデアで、白い紙のオモテ面をピンク一色にし(だから見返しをめくると真っ白)、さらに後ろ見返しの右側には、西川真以子さんの画になる雲のイラストを一色分解して入れています。ピンクはタイトルにある「ヴァニティー(虚飾)」を象徴し、それがまず目に飛び込む仕掛けで、では雲は何の象徴?という謎かけになっているのです。

...と言葉にしてもわからないと思いますので、ぜひ書店さんで手にとってみてください。いま言った見返しのことも、そしてこのタイポグラフィーの美しさも、本当は立体で見ないとわからないものですから。
このところ最近出した本の話題が多すぎたためにご紹介が遅れました。NHK大河ドラマ「龍馬伝」「平清盛」で人物デザイン監修を担当している柘植伊佐夫さんの美にまつわるエッセイ『さよならヴァニティー』が本日発売です。

この本、からまるが今まで経験したことがないほど、ひじょうに変わった作り方をしています。その怒濤の舞台裏を来週、書きますね!
共にありて.jpgのサムネール画像のサムネール画像4月2日発売の「週刊ポスト」のブックレビュー欄には、千葉望さんの『共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日』の短評が載っていました。これも昨日、ご本人から聞いたので、ご紹介が今日になりましたが、「苦難の前で人々はいかに支えあったか」という見出しで(12行の短評でも見出しをつけてくれるところが芸が細かい)、

「長く後世に伝えたい記録」

と書いてくれています。こちらもどうもありがとうございました<(_ _)>
マントラを掲げよ.pngのサムネール画像のサムネール画像こんにちは、からまるです。

4月2日に発売された「週刊エコノミスト」のブックレビュー欄に、正木静修さんの『マントラを掲げよ 信念を戦略に変える力』の短評が載っていました。ご本人から聞いて、慌てて今日、見たのですが、いいこと書いてくれていますね。

「並みの戦略論の教科書よりよほどためになる小説だ」

でしょーヽ(^。^)丿 どうもありがとうございます!

消息筋によりますと、この本は三大総合商社や第一位の広告代理店で密かなブームを呼んでいるのだそうです。テレビ通販やIT企業のビッグビジネスが舞台になっているので、そちら方面の幹部社員たちが、

「詳しすぎる!」

「オレよりロジックをよく知っているなんてあり得ない!!」

と噂し合っているという情報をキャッチしました。そういう皆さん、ぜひぜひブログなどに感想をお書きください<(_ _)>
サムライと愚か者立体撮り.jpg佐々木毅さんの『学ぶとはどういうことか』と同様、山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』も4月3日にアマゾンランキングが急上昇し、最高で40位台になりました。どうしたんだろうと思ってググって出てきたのが、「アゴラ」さんに転載されてアップされた山口利昭さんの書評でした。大阪の弁護士さんで企業法務のプロの方だけに、さすがに鋭い読み方をされています。どうもありがとうございます<(_ _)>

書評での「オリンパス事件は組織がらみ」というご指摘については、組織の範囲をどこまでと見るかで見解が異なってくるかもしれません。本では山口さんも「組織ぐるみ」という見方で事件を書いているわけではありません。何せオリンパスは関連会社含めると従業員数4万人近く、単独でも3000人以上いる巨大企業なのですから。

また、じつは本書でも取り上げている「闇株新聞」でも話題にしてくれています。しかし、「本屋でぱらぱらとめくっているうちに読んでしまったので買わなかったのですが」って、そんなご無体な(ー'`ー;)

お二方ともマスコミについて気になる見方を示しています。


「本書の面白さは当ブログでは書き尽くすことは困難ですのでご一読をお勧めいたします。いずれにしましても、本書は日本のメディアへの痛烈な批判が随所に「事実を示しながら」登場してまいります。FACTAの編集長の方も、「FACTAだけでは事件が消えてしまうかもしれないから、もっと大きなメディアに売り込んでみては?」と山口氏に提言するのでありますが、残念ながら他紙では相手にしてもらえない、というのが実情。本書はおそらく売れると思いますが、さて、各新聞や雑誌が本書を取り上げるのかどうか、とても興味のあるところです」
(アゴラ)

オリンパスについてはFTの記事が出るまでは、大手マスコミ(新聞・テレビ・週刊誌)はウッドフォード社長(当時)の解任をごく客観的に報道していただけで、それ以上突っ込んだ報道は全くありませんでした。
そしてFTの記事が出て初めて大手マスコミの取材競争が始まります。確かにFTはウッドフォード元社長本人のコメントを掲載していたのですが、掲載したのがFTのような海外マスコミでなく、また解任された社長が外国人でなければ、やはりここまで真剣な取材が始まらなかったはずです。例えば2009年9月の富士通の社長解任では、その背景を掘り下げた報道はほとんど見られませんでした。
つまり「サムライと愚か者  暗闘・オリンパス事件」を見て(ぱらぱらと読んで)、一番感じたのが、これら大手マスコミをはじめとする日本のマスコミの体質です」
(闇株新聞)


心配ご無用だとからまるは思いますが、さてどうなりますことやら。
こんにちは、からまるです。

佐々木毅さんの『学ぶとはどういうことか』を中沢孝夫さん(福井県立大学地域経済研究所所長)が日本経済新聞の4月4日付夕刊で書評を書いてくださいました! 11面にある「エンジョイ読書」の「目利きが選ぶ今週の3冊」で、しかも「これを読まなくては損をする」の5つ星です(日経電子版の会員の方でしたら、ここで読むことができます)。 どうもありがとうございます<(_ _)>

書き出しと結びのところだけ抜き書きさせていただきますと、


「ビジネス書もよいが、たまには本書のような硬質な思考にふれることも大切だ。というのはビジネスマンも、社会の一員としての人間性がいつも問われているからだ」
「福沢諭吉を中心に古今の「賢慮・知慮」をひもときながら、人生を何度も生きるために「学び続ける」ことの意味を説く管理職向けの本である」


おかげさまで、昨夕からアマゾンランキングが急上昇し、現在80位台で品切れになってしまいました(すみません)。新聞の夕刊に載っただけならここまでにはならないと思うので、電子版のパワーが読者の方のネット書店での購入に大きく影響したのだと思います。また、「管理職向けの本」という定義も関心を呼んだのだと思います。もちろん何より本の力そのものが大きいのですが!
こんにちは、からまるです。

学ぶとはどういうことか.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像
佐々木毅さんの『学ぶとはどういうことか』が発売12日目の本日、重版決定しました! 素晴らしいことです。前にも書いたように、企画の提案から数えれば4年越しでできた本。うれしさもひとしおなのです。もちろん今回の重版だけに留めず、まだまだ売っていきたいですね。

じつは、昨日は某週刊誌の著者インタビューを佐々木さんに受けてもらったのです。学習院大学の研究室で1時間ほど、からまるも立ち会って、ひじょうに楽しい話を聞かせていただきました。なかでも印象的だったのは、現在は「人材の時代」ではないかという趣旨のこと。

政治でいえば、政権交代は起きた、あとはそれをどう活かすか。そのためには今、仕組みをもっと変えるよりも今の仕組みを活かせる人材をつくることが大事ではないか、と。たしかに、からまるの印象ですが、政治家にしろ経営者にしろ、それらに人材を求める空気が大変強いように思います。相変わらずの田中角栄ブームもその反映なのでは? 人材は「学び」を通してしか作れないのですから、ますます「学ぶとはどういうことか」を「学ぶ」のが大事になるのだと思います。

このあたりの詳細は、佐々木さんインタビューが雑誌掲載されたら、またご報告しますね!
ストーリー&キャラクターの作り方オビ付き表紙.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像こんにちは、からまるです。

2011年10月20日に刊行した沼田やすひろさんの『超簡単!売れるストーリー&キャラクター』が、刊行以来半年近く経つ今日、重版が決定しました。発売即返品などという悲しい出来事もある厳しいご時世に、こうやってじっくり売れていく本もあるなんて、これこそいいストーリーじゃありませんか。ご購読いただいた皆さん、どうもありがとうございました<(_ _)>

沼田さんはシナリオライター養成講座の講師も務めておられますので、そのパワーも影響しているのでしょう。いずれにせよ、めでたいことです!
こんにちは、からまるです。

先週まで1ヵ月半にわたって書いてきたように、3月には4冊の本を出すことができました。刊行順に千葉望さん『共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日』、正木静修さん『マントラを掲げよ 信念を戦略に変える力』、佐々木毅さん『学ぶとはどういうことか』、山口義正さん『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の4冊です。本当に皆さんのおかげです。
ブック1渋谷学ぶ.JPG

では、このかわいい子どもたちは、それぞれ書店さんでどのように出ているのでしょうか。都内でもまだまだ見られていない地域が多いのですが、その中で何と言ってもうれしかったのは、地下鉄半蔵門線渋谷駅の地下一階と二階にあるブックファースト渋谷文化村通り店さんですね。写真見てくださいよ。地下二階フロアで佐々木毅さんの『学ぶとはどういうことか』がとても目立つ展開になっています。向こうの棚にも置いてあるのが見えるでしょうか。しかも、超激戦区である地下一階の話題の新刊棚にも2面置きになっていました。

じつはこのお店、からまるが編集した本を以前から少部数であってもとても大事に扱ってくださるのです。

呼吸が合うなあ。

かなり初版部数が多い山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』はもちろん、正木静修さん『マントラを掲げよ 信念を戦略に変える力』もきちんと目立つところに置いてくださり、これはもう本当に感謝感謝です。

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