柘植伊佐夫さんの『さよならヴァニティー』は豪華3人の取材者がロングインタビューを行うというあり得ない方法でできた。

|
こんにちは、からまるです。

異例中の異例な本の作り方をした柘植伊佐夫さんの『さよならヴァニティー』、その本文の作り方も異例でした。

あとがきで明示しているように、この本は最初、著者の話の聞き書きから始まりました。こういう場合、出版社は普通、「この本は著者の話をライターがまとめたものです」と本に明示しません。ここだけの話ですが、クレジットのところに「構成」とか「編集協力」とか、たんに「協力」とある場合、多くはそういう作り方をしたと考えて間違いないのですが、「原稿執筆」とは書きません。『さよならヴァニティー』の場合、著者自らが「口述による語り下ろし」と明確に書きました。

それだけではありません。こういう場合、普通は一人のライターさんが質問したり話を聞いたりなどの取材を行って、外注したテープ起こしをベースに原稿をまとめます。それはそうですよね、取材者が異なったら同じことを聞きかねず、取材がたいへん非効率的なものになってしまいます。テープ起こしの代金は時間単価ですし、やはりみなさん、短期間にしゃべりたいと考えるからです。

『さよならヴァニティー』の場合、なんと3人が取材をしています。これは本当に異例のこと。からまるには最初、抵抗感があったのですが、「三者三様のすぐれたバックグラウンドの持ち主から三者三様の質問を繰り返しぶつけられることによって、自分の中のものが、思いも寄らない形で引き出される」という柘植さんの主張に最後は納得しました。

実際、そうなったように思います。今回、快く取材者&ライティングを引き受けてくださった3人、千葉望さん、松村由利子さん、橋本麻里さんは、それぞれが著書を持つ、しっかりしたバックグラウンドの持ち主なのです。

まず千葉望さん。日本文化に造詣が深く、そうです、『共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日』の著者なのです。また、松村由利子さんは毎日新聞の科学記者出身の歌人です。何冊かの歌集とエッセイを出版しています。橋本麻里さんは日本美術に精通した若い書き手です。こんな豪華メンバーがそれぞれ数回、最低でも2時間、最長で5時間ものロングインタビューを行ってくれたのです。いやあ本当にあり得ない!!

3人と柘植さんはもともとお知り合いではありませんでした。4人を結びつけたのはツイッターです。そういう意味では、『さよならヴァニティー』はSNSが作った本ともいえるのです。

このブログ記事について

このページは、karamaruが2012年4月10日 19:18に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「本日もう一ネタ! 「アエラ」に『共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日』の短評掲載!」です。

次のブログ記事は「本日ももう一ネタ!佐々木毅さん『学ぶとはどういうことか』3刷決定!」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

月別 アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 6.2.4