特捜部の意図は「震災詐欺」。それなら新聞の見出しが立つ事件になる。

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こんにちは、からまるです。

昨日のエントリの続きで、9月7日発売の石塚健司さん著『四〇〇万企業が哭いている ドキュメント検察が会社を踏み潰した日』のご紹介です。

石塚さんが面会した佐藤真言さんは以前、当時の第一勧業銀行築地支店に勤務していました。しかし本人が抱いていたバンカーの夢とは裏腹に、本店から指示されるノルマが厳しく、支店長の顔色ばかり見て経営者に「はったりと脅し」で対応する先輩行員や同僚たちの姿に失望します。小泉政権で竹中平蔵大臣が主導した「金融検査マニュアル」により、融資先企業に厳格な格付けと貸し倒れ引当金を求められたことも銀行員の手足を縛ることになったといいます。決算書の数字が赤字だったり債務超過になったりしている企業は自動的に低い格付けにせざるを得なくなり、たとえ銀行員が将来に回復する目があると評価しても、融資対象にできなくなってしまったのでした。

「自分はこのままノルマ第一で出世したとして、あの次長や課長、支店長のようになるだけではないか。やろうとしていることはできそうにない。銀行員の限界を見てしまった心境でした」

佐藤さんは銀行を辞め、同じ築地支店で先に銀行を辞めていた先輩行員が開業していた中小企業向けコンサルティング会社に入ります。企業の側について銀行と交渉する立場に百八十度変わったのです。

ところが、佐藤さんのコンサルティング先の会社が、巨額の粉飾決算を行って銀行から融資を引き出した上で計画倒産したことで、検察にその指南役ではないかと疑われます。佐藤さんの自宅にガサ入れが入ったのは、その報酬となる現金が隠されていると検察がみなした結果でした。詐欺が成立するには、その人物に利得があることが必要だからです。

しかし結局、現金など見つかるわけもなく、当該の事件については諦めたのか、いったん検察は引き上げ、その後は音沙汰がないのでした。喫茶店での面会に現れた佐藤さんは、事情聴取で粉飾決算を容認していたことを洗いざらい検察官にしゃべったと語り、石塚さんを驚かせます。その代わり、謝礼は一円も受け取っていないとも。会社は全員が同額の給料制だったのです。詐欺罪が成立するには利得が存在しなくてはなりません。利得がないのに検察が佐藤さんを逮捕するなんてあり得ない。石塚さんはそう考えました。

その一ヵ月後、再び佐藤さんは検察に呼ばれました。今度は、別のコンサルティング先の会社が、粉飾した決算書を銀行に提出して、東日本大震災の復興を目的に政府が設けた「東日本大震災復興緊急保証制度」を使った融資を引き出したのではないかと徹底的に追及されます。その会社は「エス・オーインク」という業界では有名なアパレル会社で、社長の朝倉亨さんも検察の聴取を受けていました。

なるほど、「震災詐欺」か。それなら新聞の見出しが立つ事件になる。石塚さんは佐藤さんから電話で話を聞いて、新聞記者としてそう思い当たります。それこそ特捜部の意図ではないか。

しかし佐藤さんは、朝倉さんだけは絶対に巻き込むべきではない、と主張するのです。

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このページは、karamaruが2012年8月21日 20:08に書いたブログ記事です。

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