こんにちは、からまるです。
長らく潜航していた企画が、本日ようやく校了となりました。仙谷由人さんの『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』を来年1月18日に刊行します! 写真はカバーとオビの校了紙です。
これまでのエントリで、奥歯にものが挟まったような状態でつぶやいてきた企画がこれです。ご想像のように、じつに山あり谷あり、ジェットコースターのような進行となりました。今だから言えますが、衆議院解散をからまるは身を切られるような思いで見ていましたし、開票速報を今回ほど辛い気持ちで受け止めたことはありません。仙谷さんは今は一人の市民です。
田原総一朗さんはツイッターで12月22日、次のようにつぶやいておられます。
「絶対落ちるはずのないと思ってた仙谷氏が落選した。民主党の中で、唯一と言ってよい政治家だった。仙谷抜きで民主党がどうやって再建するのか心配だ」
からまるもまったく同じ思いです。ただし、地元で「仙谷党」と呼ばれるほど党派を越えた支持のあった仙谷さんも、民主党に対してひじょうに強い逆風が吹く中では厳しいのではないかと予想されてはいました。誰も「絶対落ちるはずがない」と楽観してはいませんでした。だから、編集者であるからまるは本を出すことが仕事ですから、「近いうちに」が嘘つきになるかどうかなんて話はどうでもよくて、本書を世に問う前に解散されてしまうことに、一時大きな敗北感を抱いたのでした。
でも、この本の内容には絶対の自信がある。たとえ仙谷さんが非議員の立場になられても、この内容は絶対に世に問わなければいけない。12月16日深夜、冷厳な選挙結果を見て、からまるはそう気持ちを切り替えました。
タイトルから想像されるように、この本は東電福島第一原発事故以降、電力政策を民主党幹部として主導してきた著者のドキュメントと考え方をまとめたものです。原発事故収束については、菅直人さんや福山哲朗さん、海江田万里さんらが詳しい記録を本に残していますが、東電の経営問題、大飯原発の再稼働問題、原発ゼロを含む今後のエネルギー政策の具体案について、当事者が本書のように詳しく書いた例はありません。ほとんどの仕事を仙谷さんがしていたので、本書が出るまでそういう本が存在しないのは当然と言えば当然で、だから早く表に出す必要があるのではないか。出すことによって、「脱原発」対「原発推進」という二者択一の議論がいかに不毛なものであるかを、国民的関心が高いうちに多くの方に知ってほしい。この点が、からまるが刊行を急いだ大きな理由だったのです。
民主党政権が「2030年代に原発ゼロを目指す」という「革新的エネルギー・環境戦略」をとりまとめたのが9月14日のことでしたから、来年1月18日というのは、それから約4ヵ月で、第2次安倍内閣の政策が具体的に動き出すのがその頃でしょうから、そのタイミングに間に合う程度には、スピード刊行ができたと思っています。
この本の制作ドラマを年明けからご報告します。本年の日記は今日で終わり、来年は1月15日に再開します。それでは、よい新年をお迎え下さい!