karamaru: 2013年1月アーカイブ

こんにちは、からまるです。

昨日のエントリの続きです。仙谷由人さんと、後に『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』となる企画立ち上げで同意したものの、問題はその制作方法です。別に隠すことではないと思うのではっきり書きますと、この本は仙谷さんの語り下ろしを文字にしたものです(このようにして作られる本はひじょうにたくさんあります。じつはからまるは今年、語り下ろしをプロの書き手が原稿にして本を制作する、業界では当たり前の仕組みを可視化するプロジェクトを始めたいと考えています。その話はいずれまた)。

この場合、キーマンとなるのは、相手からきちんと話を引き出し、必要な質問を行い、コンテンツを良いものにし、しかも過不足ない文章を書ける人材です。この人捜しがとても重要なのです。とくにこの企画の場合、原子力政策とエネルギー政策の背景が理解できていないといけません。しかし、そのような理解があって、さっき書いた条件が揃った人は滅多にいません。

そういう分野に近いところで以前から知っている方は他の仕事で完全に手がふさがっていました。なので、無理矢理頼み込んで、その方に他の人を紹介してもらうことにしました。で、紹介された方がさらに人を探して下さって、現れたのが、電力問題に精通したジャーナリストの山崎康志さんでした(本にお名前を掲載しています)。

8月下旬に引き受けてもらうことが決まって打ち合わせを行い、9月上旬からおよそ1ヵ月強のあいだ、毎週毎週、永田町の衆議院議員会館の仙谷さんの部屋で取材を行いました。事前に山崎さんとからまるで質問事項を練って、取材で山崎さんがそれをぶつけていきます。仙谷さんは記憶力がよく、思想を持って行動しているためなのでしょうが一つ一つの言動の説明が論理的です。当時は今よりはるかに原発問題で世の中がヒートアップしていたこともあり、じつにエキサイティングな取材となりました。人選は大正解でしたね。

原稿が仕上がったのは11月中旬ですから、取材スタートから2ヵ月半という速さでしたが、同時にそれは、野田総理が党首会談で衆議院の解散を表明した直後というタイミングでもありました。政治日程の凄まじい渦に巻き込まれて、一時は出版さえ危ぶまれたことがあったことは、昨年末のエントリでも書きました。それを何とか世に問うことができ、重版までできたことは、編集者にとって何にも勝る喜びです。

     *     *

来週前半は休暇で日本におらず、この日記はお休み。2月1日に再開します。また来週!
こんにちは、からまるです。

丸善仙谷本.JPG
仙谷由人さん『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』の重版が先ほど決まりました。よかったよかった。ご購入いただいたみなさん、どうもありがとうございました<(_ _)>

写真は丸善丸の内本店さんの1階にある棚の模様です。マッチョな面構えの本に囲まれて、しっかり数が減っていましたね。

以前のエントリで本書の制作舞台裏をご紹介すると書いたまま、本の発売が新聞記事になったりした話が続いたので中途半端になっていましたね。この機会にしばらくの間、補足のご紹介をしたいと思います。

からまるがある方のご紹介で仙谷さんとお会いしたのは、一昨年の夏でした。じつはこのときはまったく別の用件でした。その後、さまざまな経緯があって、昨年の夏、議員会館の部屋で出版の打ち合わせをしていたときに、仙谷さんが進めておられた電力改革に関心があったからまるが「原発問題への取り組みで一冊の本を作りたい」と提案したのが、本書誕生のきっかけとなっています。

仙谷さんに同意していただいてから、からまるも原発問題と電力改革についてにわか勉強をしました。でもやっぱりこの問題は複雑怪奇。付け焼き刃で理解できるような生易しいテーマではありません。しかも出版は早ければ早い程いい。そこで最初にからまるがしなくてはいけなかったのは、本の制作をお手伝いいただける電力問題に詳しいジャーナリストさんを見つけることだったのです。

どうしてなのか、そしてどうなったのかは、また明日!
こんにちは、からまるです。

先輩を先輩と思わない口悪後輩が、今夜はいつもよりその腰にあてがった手に勢いがあります。場所は、例によって話があるというので渋々付き合った居酒屋です。

「いまアベノミクスとかいって、株が上がってるじゃないすか。だから株を買って一儲けしようと思ってるんすよ。どんな株がいいんすか」

「はあ...? 証券会社の口座すら持ってないのに、どうやって買うつもりよ。店に売ってるわけじゃないんだよ」

「それくらい知ってるっすよ。まあ出版社の株を買うつもりはないっすけど」

「...。最近の週刊誌には、安倍バブルで一儲け、株はまだまだ上がるという記事がどんどん出てるでしょ。一般誌にこういう記事が出るようになったら相場はもう天井と言われてるんだよ。株を買って長く持つならともかく、短期で儲けようと思ったら去年の衆議院の解散のときに買わないと。今はそのとき株を仕込んだ投資家が売り時を待っているんだから」

「相変わらずつまんないこと言うっすね。それにしても思うんすけど、なんでみんなバブルバブルと呼ぶんすかね」

たしかに、せっかく安倍さん主導の金融政策なのに、どの週刊誌も最初からこれはバブルで買った株の売り時はいつ?などと言っているのですから、安倍さんも金融当局も浮かばれません。

「バブルと呼ばれるのは、株が上がっているだけで給料が上がらないから、日本経済が良くなるという実感が一般の人にないからだと思うよ。2%のインフレ目標導入でデフレ脱却期待を持たせるのはいいけれど、給料が上がらないとますますビンボーになるという逆の期待もある。給料が上がって、やっと期待感が本物になるのかも」

「先輩、なに言ってるんすか。インフレになれば給料が上がるって誰が決めたんすか」

「へ?」

「インフレになれば給料が上がると、軽ーく言えるのは、先輩が終身雇用制に守られて会社にしがみついてるからっすよ。そうじゃない人たちはそんなメカニズム信じないっす」

「...ムカ

まあ、しかし。先輩に無駄にビールを驕らせる口悪後輩も、たまにはいいことを言うのでした。
こんにちは、からまるです。

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講談社は年に3回、「G2」というノンフィクション雑誌を発行しています。その第12号が今日発売されました。

この雑誌は、社内のノンフィクション分野で仕事をしている編集者が有志で集まって制作しています。書籍編集者だけでなく雑誌編集者も加わってコアメンバーを構成しているのですが、それ以外に企画がある編集者は飛び入りで参加することができます。今回、からまるも初参加して、『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』の山口義正さんの中編を載せました。昔、今はなき「月刊現代」編集部にいたことがあるからまるにとって、ほんの少しですが久しぶりに雑誌編集に携わりました。

タイトルは「証券マンが消えていく」。アジアの金融センターになろうと東証が超高速で売買注文処理を行うアローヘッドというコンピュータ・システムを導入したことや、その東証の株式会社化が、市場から証券マンを駆逐してしまった結果、職を失ったかれらは今どこで何をしているのか。そうした人物群を追いかけた物語です。現在の東証はアジアの金融センターどころか、外国企業が次々と上場をとりやめ、国内の銘柄も取引の低迷にあえぐ有様。制度変更による人災が招いた現実をまざまざと描いています。

さて、その『サムライと愚か者』について、山口さんが最初の記事を載せた月刊誌「FACTA」編集長の阿部重夫さんが、面白いネタをブログ「最後から2番目の真実」に書いています。猿之助ファンの阿部さんが猿之助主演のコメディー劇「助太刀屋助六外伝」を見に行ったところ、その公演パンフレットに載っていた演出家の文章の中に、山口さんの『サムライと愚か者』のことが触れられていたというのです。曰く、


「怒れるマイケルさん(解任された当時のマイケル・ウッドフォード社長*からまる注)は、あるライター(山口さんのこと*からまる注)にこう語っています。「日本人はなぜサムライと愚か者がこうも極端に分かれてしまうのか」。不思議な気持ちになりました。イギリスの経営者が「今の日本にもサムライはいる」と言ってくれている。それが少し嬉しい反面、もちろん悔しさも感じます。マイケルさんのほうがよっぽどサムライだったのですから。ところで......サムライってどういう人のことを指すのでしょうか? そこで今回は、現代の日本にも通じる「サムライ」の姿を思い描こうと思い立ちました」


たしかに、思わぬ邂逅とはこのことかもしれませんね。で、この文章を書いた演出家のお名前が本名不詳の「G2」さんとおっしゃるのだそうですよ。

お後がよろしいようで。
こんにちは、からまるです。

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先週、アルジェリアの東部にあるイナメナスの天然ガス田施設で起きたテロリストとアルジェリア特殊部隊との交戦では、深刻な被害が発生したようです。その被害の実態や事件の詳細は未確認のことが多いようですが、アルカイダ系組織が施設を襲撃し、人質をとったらしいことは、どの報道も一致しています。

いったい何が背景にあるのか。2008年12月に出した松本光弘さんの『グローバル・ジハード』にはそのヒントが載っています。ビンラディンらが構成していたアルカイダ中核の周辺にはイスラム過激派ネットワークが張り巡らされていて、それを松本さんは「アルカイダ星雲」と総称した上で、その中に、北アフリカのいわゆるマグレブ地方に展開し、アルジェリアを本拠地とする「イスラム・マグレブのアルカイダ」および「ダーマト・フーメト・ダアワ・サラフィア」という組織が存在していると指摘しています(p200,211-212)。

事件を起こした組織とこれらの組織がどのような関係なのか、どのようなネットワークの中に位置付けられるのか、まだまだ未解明ですが、事件の背景の大きさにはたじろぎそうになります。
こんにちは、からまるです。

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仙谷由人さんの『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』は今日、発売です。最速で関心をお持ちになっているのは、電力関係と金融関係の方々のようで、いち早く読みたいという問い合わせが人づてにからまるのところに来ています。電気事業連合会がすぐ近くにあるからか、紀伊国屋書店大手町店は、昨日午後に搬入されたばかりの段階で早速、本書が売れていました。

表紙はこんな感じです。装幀してくださったのは石間淳さん。今回もお世話になりました。本書はじつは何度かタイトルの変更があったもので、そのたびにいろいろと手を加えてくださいました。
こんにちは、からまるです。

明日発売の仙谷由人さん『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』に登場するもう一つの重要人物は、もちろん東京電力です。菅直人総理大臣はじめ官邸と政府の主要メンバーが福島第一原発事故の収束に追われる中、官房副長官の仙谷さんは3月末決算を控えた東電の経営問題に危機感を抱きます。原発事故にともなって東電が抱え込む債務は、見当がつかないほど膨大な金額になることは確実で、それをどのように決算に計上するのか、場合によっては東電が債務超過に陥る可能性があったからです。

東電の勝俣会長のカウンターパートになったのが仙谷さんでした。事故から10日目の3月20日に仙谷さんは勝俣さんと会談します。この場で勝俣さんが求めたのが、原子力損害賠償法第3条但し書きの「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じた」損害の場合は国が損害賠償を肩代わりするという条項に基づく免責でした。

仙谷さんは、この場で即座に免責を「それは通りませんよ」と否定しました。しかしその後も東電免責論はけっして消えず、閣内では与謝野経済財政担当大臣がこれを最後まで唱えました。その反対側にいたのが枝野経産大臣で、会社更生法適用による法的整理を主張し、その際には3月29日に合計2兆円もの緊急融資を実行したばかりのメガバンク3行の債権放棄まで求めるようになりました。

仙谷さんはそのどちらの立場も取りませんでした。免責論を否定する理由を仙谷さんは2点挙げていますが、それは本書を読んでいただくとして、法的整理を否定するにあたってとくに仙谷さんが考えを巡らせたのは、次の点でした。

原発事故の収束は誰が続けるのか。法的整理をすれば、現場の士気は急速に低下し、おそらく蜘蛛の子を散らすように誰もいなくなる。いくらカネを積んでも、放射線封じ込めの戦場へ赴く者は現れはしない。事故原子炉が冷温停止にたどり着けるかどうか不安だった当時、責任主体が消えてなくなるという話は、私には考えられなかった」(第3章「チーム仙谷、東電に挑む」p92)

こうして現行の原子力損害賠償支援機構による東電支援の(救済ではなく)仕組みができていったのでした。
こんにちは、からまるです。

昨日のエントリで、仙谷由人さんの『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』に記された本当に政治的に微妙な部分を紹介します、と書きましたが、あんまり刊行前からそれをするとネタバレ感が出てしまいますので、抑え気味にします。

本書では、何人かの政治家の方々が重要な登場人物になっています。鳩山さんと菅さんはもちろん、当時、経済産業大臣だった枝野幸男さん、国家戦略大臣だった古川元久さん、そして原発事故担当大臣だった細野豪志さんです。

この3人は、よく新聞や週刊誌などで、仙谷さんが後見役を務めていると書かれます。実際にひじょうに密な関係にあったことは確かです。本書に出てくる中でも重要な協議の場の一つであった電力問題の政府与党非公式会合は、当事者のあいだで「3プラス2」と呼ばれたごとく、枝野さん、古川さん、細野さんの政府側3人と、官邸の齋藤内閣官房副長官、そして党の仙谷さんがメンバーでした。この非公式会合の内容をめぐって、昨年書かれたさまざまな観測記事が、本書によって裏付けられることになると思いますが、野田内閣が発足してからできたこの会合の場では、東電の経営問題、大飯原発再稼働問題、原子力規制委員会発足、そして「2030年代原発ゼロを目指す」という野田内閣の「革新的エネルギー・環境戦略」の骨格作りが行われました。

ところが、この最後の「革新的エネルギー・環境戦略」の骨格作りの場面で、2012年8月下旬、枝野さんと古川さんに対して細野さんと仙谷さんの「温度差」が表面化しました。かねてより早期の脱原発を主張したり勉強したりしていた枝野さんと古川さんが仙谷さんに持ちかけたのは、次のことでした。

「原発ゼロを『3プラス2』で決めようと思うんです」

この発言がどういう意味と背景をもっているかは、本書を読んでいただくしかないのですが、本書でじつは最も政治的に微妙な場面なのだと、からまるは思っています。
こんにちは、からまるです。

先週11日の読売新聞4面に仙谷由人さんの『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』の内容がスッパ抜かれていることをご紹介しましたが、翌12日には朝日新聞の4面にも記事が出ました。どうもありがとうございます<(_ _)>

見出しは「鳩山・菅両氏の「脱原発」を批判 仙谷氏「もう少し深く悩んでほしかった」」で、読売新聞の記事とまるでメモ合わせをしたかのように同じ趣旨でした。読売と違うのは野田さんについて触れているところで、仙谷さんが鳩山さんと菅さんを厳しく批判しているのに対して野田さんを擁護していると記事は書いています。

この部分は、大飯原発再稼働にあたって再稼働の安全対策確認手続きを行った政府4大臣協議に党の代表として仙谷さんが加わっていた理由について書かれたところで、本文ではこうなっています。

「今だから言えることだが、私がオブザーバー参加することにしたのは、この大飯原発再稼働問題に限らず、野田総理とその周辺が、原発問題の持つ課題の大きさ・深さをどう捉えているのか、もう一つよく見えなかったためでもある」

その上で仙谷さんは、その理由として原発再稼働のまつわる複雑な方程式を説き、

「そういった広大なパースペクティブを持つ問題であることに、官邸はどこまで想像力がはたらいていただろうか。社会保障と税の一体改革で手一杯だったかもしれないが」

となっています(第6章「大飯原発再稼働の真相」p160-161)。まあ擁護といえば擁護なんですが、配慮という言葉のほうが正確なニュアンスなのかなあ。

ともあれ、読売さん朝日さんの政治部がこうした部分を取り上げてくださるのはよくわかりますし、大変ありがたいし、仙谷さんの本以外にはなかったであろうトピックなので編集者冥利に尽きるのですが、本当に政治的に微妙なところは、違う部分なんですよ。明日はそこをご紹介します。
こんにちは、からまるです。

1月18日刊行の仙谷由人さん『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』制作秘話を昨日のエントリに続けて書こうかと思っていたのですが、今日の読売新聞4面に本書刊行のニュースが載ったので、そのご紹介をします。

発売1週間前の本の内容が外部に洩れて記事になるなんて、これは読売新聞のスクープ!......ではなく、いろいろな経緯で事前に記者の方にゲラを渡してあるのです。もちろん事前のゲラ提供はこのように記事になる場合(からまるたちは、これを前パブ、つまり発売前パブリシティといいます)で、かつ情報管理について完全に信頼できる相手に限ることで、それ以外はありません、念のため。

読売新聞記者の方が取り上げたのは、見出しに「仙谷氏、鳩山・菅氏を批判 自著で「脱原発は安易」」とある通り、この本で仙谷さんが鳩山・菅両元総理の原発政策を厳しく批判したところでした。記事が扱ったのは、本文でいうと次の部分です。


「国民の間に生活感に根差した原子力への不信が広がったのが事実としても、それを利用し、菅さんのように選挙に向けた政治運動論として脱原発を掲げることには賛成できない」
「鳩山さん、菅さんには、国際社会に温室効果ガス25%削減を約束した内閣の総理、副総理として、脱原発を主張する前にもう少し深く悩んでほしかった」
(いずれも第2章・エネルギー政策の論点から


とくに菅さんとは、「2030年代原発ゼロ」をめぐる激しい攻防が党内であったことが綴られます。ほとんど今までマスコミに出なかった、本書のハイライトシーンの一つ。その話題は次回に!
こんにちは、からまるです。

本年も本格スタートいたしました。さてどんな年になりますやら

昨年最後にようやく公開できた1月18日刊行の仙谷由人さん『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』制作秘話をしばらく綴っていきたいと思います。

からまるがはじめて仙谷さんにお会いしたのは、一昨年の7月はじめでした。もう1年半近く前になるんですね。その頃の仙谷さんは菅内閣の官房副長官でした。本に巻末に付けた関連時系列表によると、政府は7月1日に大口需要家に対する電力使用制限令を発動する一方で、福島第一原発事故以降、つぎつぎと定期検査に入った原発を再稼働させるのかどうか(正確に言い直すと、世論が原発に厳しい視線を注ぐ中、電力会社が再稼働させたい原発を立地自治体の知事が事前承認するのに、政府がお墨付きを与えるのかどうか)が注視されていた時でした。

2011年6月18日には海江田経産大臣が、3月末に原子力安全・保安院が電力各社に指示した緊急安全対策が確認された原発の再稼働について立地自治体と協議を始めていました。その第一弾として、海江田大臣は6月29日に佐賀県の古川知事と会談して、玄海原発の2号機と3号機について再稼働容認を取り付けたところでした。

ところが、7月6日に菅総理大臣の決断で、再稼働にはストレステストが必要とされ、玄海原発再稼働はたった1週間で反故にされました。そこから海江田大臣と菅総理の確執が始まったのですが、ちょうどその頃に仙谷さんにお会いしたのでした。

ところで、こんなふうに日付入りですらすら事実関係を書けるのは、この本の巻末付録に時系列表があるからなんですが、これはからまるの力作なんですよ。地味な付録なので誰も賞めてくれませんが、この電力改革関連時系列表のためにからまるが費やした時間はどれだけのものだったか。来る日も来る日もひたすら日経テレコムに妥当しそうな検索語を入力しては新聞記事を検索しまくって、それらを片っ端からダウンロードして作成したのです。ついに編集部の上長が、

「今月はやたら日経テレコムの請求額が多いけど、どうしてだ?」

と不審がるほど、たぶん普段の数倍の額になったと思いますが、それはこのマニアックな時系列表作成のためだったのです。福島第一原発事故から原子力規制委員会が発足した9月19日までの電力問題の経緯を、これだけ細大漏らさずして簡潔な年表は、新聞などマスメディアにも絶対にないと思いますよ。これだけでもお値打ちものの本だと自画自賛しているのですヽ(^。^)丿
あけましておめでとうございます。
今年もこの日記をよろしくお願いいたします。

今日はエントリする予定ではなかったのですが、いち早くお伝えしたいことがありまして緊急エントリします。

苫米地英人さんが2008年8月に出した本『本当はすごい私 一瞬で最強の脳をつくる10枚のカード』が昨日、いきなりアマゾンで100位以内に飛び込んできました。4年半も前に出した本がこんなに急速に動くことなど滅多にありません。その原因は、あのベストセラー・メーカーである山崎拓巳さんがこのブログで本書を紹介してくださったからなのでした。その一部を引用しますと、

「10枚のカードが付いているんです。その文言が凄い。酔っぱらって、早く寝てしまい、今......目が覚めて読み出したら止まらない。カードに書かれたひとつ、ひとつが染みます」

これはうれしい! どうもありがとうございます。

新年早々、こうして動きがありましたので、予定を早めて1月10日からこの日記を再開します。ではまた、来週!

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