こんにちは、からまるです。
昨日のエントリの続きです。仙谷由人さんと、後に『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』となる企画立ち上げで同意したものの、問題はその制作方法です。別に隠すことではないと思うのではっきり書きますと、この本は仙谷さんの語り下ろしを文字にしたものです(このようにして作られる本はひじょうにたくさんあります。じつはからまるは今年、語り下ろしをプロの書き手が原稿にして本を制作する、業界では当たり前の仕組みを可視化するプロジェクトを始めたいと考えています。その話はいずれまた)。
この場合、キーマンとなるのは、相手からきちんと話を引き出し、必要な質問を行い、コンテンツを良いものにし、しかも過不足ない文章を書ける人材です。この人捜しがとても重要なのです。とくにこの企画の場合、原子力政策とエネルギー政策の背景が理解できていないといけません。しかし、そのような理解があって、さっき書いた条件が揃った人は滅多にいません。
そういう分野に近いところで以前から知っている方は他の仕事で完全に手がふさがっていました。なので、無理矢理頼み込んで、その方に他の人を紹介してもらうことにしました。で、紹介された方がさらに人を探して下さって、現れたのが、電力問題に精通したジャーナリストの山崎康志さんでした(本にお名前を掲載しています)。
8月下旬に引き受けてもらうことが決まって打ち合わせを行い、9月上旬からおよそ1ヵ月強のあいだ、毎週毎週、永田町の衆議院議員会館の仙谷さんの部屋で取材を行いました。事前に山崎さんとからまるで質問事項を練って、取材で山崎さんがそれをぶつけていきます。仙谷さんは記憶力がよく、思想を持って行動しているためなのでしょうが一つ一つの言動の説明が論理的です。当時は今よりはるかに原発問題で世の中がヒートアップしていたこともあり、じつにエキサイティングな取材となりました。人選は大正解でしたね。
原稿が仕上がったのは11月中旬ですから、取材スタートから2ヵ月半という速さでしたが、同時にそれは、野田総理が党首会談で衆議院の解散を表明した直後というタイミングでもありました。政治日程の凄まじい渦に巻き込まれて、一時は出版さえ危ぶまれたことがあったことは、昨年末のエントリでも書きました。それを何とか世に問うことができ、重版までできたことは、編集者にとって何にも勝る喜びです。
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来週前半は休暇で日本におらず、この日記はお休み。2月1日に再開します。また来週!