仙谷さんが語る東電免責論vs.法的整理論の舞台裏。

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こんにちは、からまるです。

明日発売の仙谷由人さん『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』に登場するもう一つの重要人物は、もちろん東京電力です。菅直人総理大臣はじめ官邸と政府の主要メンバーが福島第一原発事故の収束に追われる中、官房副長官の仙谷さんは3月末決算を控えた東電の経営問題に危機感を抱きます。原発事故にともなって東電が抱え込む債務は、見当がつかないほど膨大な金額になることは確実で、それをどのように決算に計上するのか、場合によっては東電が債務超過に陥る可能性があったからです。

東電の勝俣会長のカウンターパートになったのが仙谷さんでした。事故から10日目の3月20日に仙谷さんは勝俣さんと会談します。この場で勝俣さんが求めたのが、原子力損害賠償法第3条但し書きの「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じた」損害の場合は国が損害賠償を肩代わりするという条項に基づく免責でした。

仙谷さんは、この場で即座に免責を「それは通りませんよ」と否定しました。しかしその後も東電免責論はけっして消えず、閣内では与謝野経済財政担当大臣がこれを最後まで唱えました。その反対側にいたのが枝野経産大臣で、会社更生法適用による法的整理を主張し、その際には3月29日に合計2兆円もの緊急融資を実行したばかりのメガバンク3行の債権放棄まで求めるようになりました。

仙谷さんはそのどちらの立場も取りませんでした。免責論を否定する理由を仙谷さんは2点挙げていますが、それは本書を読んでいただくとして、法的整理を否定するにあたってとくに仙谷さんが考えを巡らせたのは、次の点でした。

原発事故の収束は誰が続けるのか。法的整理をすれば、現場の士気は急速に低下し、おそらく蜘蛛の子を散らすように誰もいなくなる。いくらカネを積んでも、放射線封じ込めの戦場へ赴く者は現れはしない。事故原子炉が冷温停止にたどり着けるかどうか不安だった当時、責任主体が消えてなくなるという話は、私には考えられなかった」(第3章「チーム仙谷、東電に挑む」p92)

こうして現行の原子力損害賠償支援機構による東電支援の(救済ではなく)仕組みができていったのでした。

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このページは、karamaruが2013年1月17日 15:11に書いたブログ記事です。

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