講談社エッセイ賞の永田和宏さん『歌に私は泣くだらう』に感動。

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こんにちは、からまるです。

一昨日は、講談社ノンフィクション賞と同時に、講談社エッセイ賞も発表されました。受賞作は、『歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子 闘病の十年』(永田和宏著、新潮社刊)と『銀色の月 小川国夫との日々』(小川恵著、岩波書店刊)の2作品です。奇しくも、立場は変われど伴侶を亡くし、それなりの時間を経過して初めて書ける追悼という意味では、共通項がありますね。

からまるはここ数年、エッセイ賞の社内選考も担当していまして、その立場からも納得の結果だと思います。とりわけ感動したのは、永田さんの『歌に私は泣くだらう』ですね。無教養なからまるはよく存じ上げていませんでしたが、永田和宏さんも河野裕子さんも大変高名な短歌作家です。乳がんを病み64歳で亡くなった河野さんとの闘病生活の日々が、その苦闘の最中にあってもお二人が創作し続けたすばらしい短歌を執筆の軸にしながら綴られています。

河野さんは、自分だけが死んでいく理不尽さへの怒り、第三者にはうかがい知れない胸中の葛藤、それ故に起こす激しい言動、夫に対する複雑な心境を、一度目に触れたら忘れられない歌に替えていきます。夫である著者は、それらの歌がまごうかなき傑作であるが故に、いつまでも慟哭せざるを得ない。タイトルの元になった永田さんの短歌は、


歌は遺り歌に私は泣くだらういつか来る日のいつかを怖る


からまるは本書を読み進めて、この場面で何分間もページをめくれなくなってしまいました。河野さんが死の直前に詠み、永田さんが書き留めた最後の作品は、


手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が


同年代の知人すべてにからまるは本書を読むことを薦めています。

このブログ記事について

このページは、karamaruが2013年8月 1日 11:35に書いたブログ記事です。

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