高い能力が求められながら「いないこと」になっているのは変じゃないか。

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こんにちは、からまるです。

上阪徹さんの新刊『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法』にまつわるエントリの続きです。なぜゴーストライターに代えてブックライターという言葉を広めたいと思ったのか。

本の作り方にはさまざまな手法があります。著者の方が書くのが、昔からあるオーソドックスな手法です。これは当たり前ですよね。文芸作品はすべてそうして書かれています。

では、それ以外にどんな方法があるかというと、著者になる人(本の表紙に著者名として出る人)が話したことを、ライターがまとめる。じつは、ビジネス書や自己啓発書、政治経済系の実用書、タレント本といったジャンルでは、もちろんすべてではありませんが、これもオーソドックスな手法と言っていいほど一般的に行われているのです。

こうしたジャンルで著者になる方は、たいてい別に本業をお持ちです。本のために文章を書くプロではありません。中には、もともと仕事上、文章を書くのに慣れている方、作家顔負けの名文家や、ユニークでその人らしい個性を発揮したブログを自ら書かれる方もいますが、それでも本業とは別に、本を一冊分まるまる書く時間を多忙な日常から割ける人は、かなり稀だと思います。

そういった事情で、本人が書けない場合は、あらかじめ作った全体構成に沿って、多くの場合ライターや編集者の質問をきっかけにして、著者の方が話し、それをICレコーダーに採録して、専門家が作成したテープ起こしを素材にライターが文章を書くのです。この場合のライターさんの仕事を、業界では昔から「ゴースト」と呼んでいました。

昔は、そういうライターさんは「いないこと」になっていました。本のどこにもその人の名前は出てきませんし、著者も出版社も「著者が書いた」ことにしますし、ライターさん本人も絶対「あの本を書いたのは自分」などと言ってはならない。だから幽霊に喩えられたのだと思います。

しかし、この仕事は大変な力量を要するのです。著者の話を理解する能力、それをわかりやすく書く能力、全体の構成を考え、どこにどの話を使い、効果的に著者の主張を表現できるかを決める能力。簡単なことではありません。それなのに「いないこと」になっている。それは変じゃないか。からまるは、この業界に入ってから、ずっと疑問を抱いていました。

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このページは、karamaruが2013年10月10日 18:04に書いたブログ記事です。

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