karamaru: 2013年11月アーカイブ

こんにちは、からまるです。

原発の倫理学.jpg
一昨日からご紹介してきた古賀茂明さんの『原発の倫理学』は本日発売しました。表紙は写真でご覧のような感じです。迷いなく振り切った装幀ですよね。デザインしてくれたのは、水戸部功さんです。

昨日のエントリで書いたように、からまるは原稿を読んでいて、福島第一原発事故の直後から古賀さんがずっと指摘してきた東電救済や原子力規制委員会に潜む問題点などが今議論の焦点になっていること、それをまるで予期していたかのようであることに感銘を受けました。そこで、帯に「著者の主張通りに日本が動き始めた」と入れました。そして、それを人々に実感させた小泉元総理と細川元総理の言葉を加えました。

もう一つの帯の要素は、講談社の書籍で今最も売れている『原発ホワイトアウト』の若杉冽さんに、編集担当者を通じてもらった推薦文です。からまるはこの本が刊行されてすぐに読みました。謎めいた印象だった電事連の活動のディテールが、フィクションならではの誇張があるのでしょうが、じつに事細かによく書かれています。電力マネーは、まさにこの国の政財界の構造全体に影響を及ぼしていることが読み取れます。著者が覆面現役官僚だけに説得力があります。

この本を古賀さんがツイッターで評価していましたし、若杉さんも、あるテレビ番組に覆面で出演して古賀さんのことにリスペクトしていたと聞き、それなら、ということで成立した依頼でした。デザイン上、スペースがなかったので、その推薦文は本の裏にあります。これがとてもユニークなので、ぜひ現物を手に取ってみてください<(_ _)>
こんにちは、からまるです。

もし、この日記をずっとご覧の方がいらしたとしたら、からまるが今年1月に仙谷由人さんの『エネルギー・原子力大転換 電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録』を出したことを覚えておいでかもしれません(お前はどっちの味方なんだ!と怒られそうですが)。あの本はもっと早く出したかったのですが、野田総理大臣の突然の解散によって出版準備どころではなくなり、今年になったのでした。

どうしてもっと早く出したかったのかというと、昨年の大飯原発再稼働の議論を聞いていて、さまざまなことを考え、そこに一石を投じたいと考えたからです(からまるは、おおい町に取材に行ったこともあります。そのことは稿を改めて)。脱原発か、原発推進かという二項対立で考えると、仙谷さんの主張と行動は原発推進であり、経産省の従来のエネルギー政策をおおむね堅持していくものでした。

そのことに対する価値判断を措くと、仙谷さんの主張と行動は政治的リアリズム(仙谷さんの言葉を使うと「プラグマティズム」)だとからまるは思いましたし、この本に盛り込んだ主張に対する考慮なしに脱原発を唱えても、それはたんに「マイナーな市民運動」にカテゴライズされ、どんなに脱原発デモの参加者が多くても、はたして本当の力になるだろうか、ともからまるは思っていました(昨年夏には、からまるも総理官邸前のデモに行ってきました)。

しかし、それから半年が過ぎ、これは本当に「政治的リアリズム」なのだろうか、という疑問を投げかけたのが、小泉さんの主張です。「即原発ゼロを総理大臣が決めれば、あとは知恵者たちが考える」という主張のほうに、むしろ政治的リアリズムがあるのではないか。「脱原発を唱えるなら、その代わりとなるエネルギープランを同時に提案せよ」という、よくありがちな議論が、再生可能エネルギーを中心にするという誰もが望む社会に現状を変革する道を妨げているのではないか。

古賀茂明さんは、福島第一原発事故以後のかなり早い段階で、世の中の議論が現在、小泉さんが唱えている方向に変わっていくことを見通していたように、からまるには思えます。明日発売の『原発の倫理学』の内容が、何よりもその証拠なのです。
こんにちは、からまるです。

11月刊行の4冊目は、古賀茂明さんの『原発の倫理学』です。このタイトルに見覚えのある方は、よほどディープな古賀ファンの方だと思います。たしかに今年の5月末に、KindleなどのePub版電子書籍として配信を開始したタイトルなのです。その大元になっているのは、古賀さんが講談社の「現代ビジネス」から出しているメルマガの中で原発問題について書いたものだったのですが、この電子書籍には2012年いっぱいまでに書かれたものしか収められていませんでした。

しかし、その後、除染問題や福島第一原発の汚染水問題などが起こります。フクイチの現実と、政府が原発政策を推進するやり方の間に、技術的にも社会的にも大きな矛盾が生じていることを、多くの国民は知ってしまった。そこへきて、この秋から小泉純一郎さんが「原発ゼロ」を講演会で提唱するようになりました。11月12日には日本記者クラブに大勢の記者を集めてこのテーマで講演し、その影響力は誰もが無視できない大きさになっています(昨日発売の雑誌「プレジデント」にも、9月下旬に「プレジデント」創刊50周年記念フォーラムで小泉さんが同趣旨の講演をした内容が収録されています)。

こうした流れを見て、『原発の倫理学』に新しい情報を入れて再編集し、紙の書籍で出版するのは今しかない、という古賀さんの決断が、今度の緊急出版となりました。発売が明後日に迫っていますが、この本のまつわるエピソードを明日からご紹介します。
こんにちは、からまるです。

昨日のエントリで、西田宗千佳さんの新刊『顧客を売り場に直送する ビッグデータがお金に変わる仕組み』のタイトルについて書きましたが、今日はそのサブタイトルについて。

低解像度_顧客を売り場に.jpg
西田さんは、この本を書くにあたって「ビッグデータ」という言葉をなるべく使わない、というルールを課したのですが、でもやっぱり表紙のどこかには欲しい。「ビッグデータ本」はいまや一大ジャンルを築いていますし。ということで、サブタイトルに入れ込むことになりました。「ビッグデータ」という語がタイトルに入っていることで、アマゾンでもすでにかなり検索されているようです。

こんな次第でできあがった表紙が、写真でご覧のものです。装幀してくれたのは、石間淳さん。帯にあるように、津田大介さんにゲラを読んでいただき、

「あなたが知ってるつもりのIT技術は、すでに時代遅れです」

というナイスな推薦文をいただきました。どうもありがとうございます<(_ _)>

発売は明後日、11月29日。税込み価格は1365円です。電子書籍も同日配信されることになっています。紙と電子同時発売は、からまる史上、初めてです。
こんにちは、からまるです。

先週2回のエントリで、西田宗千佳さんの新刊『顧客を売り場に直送する ビッグデータがお金に変わる仕組み』について、「世界は一本の線になる」「ジオフェンシング」というキーワードを書きました。じつは、この本は最初、前者がメインタイトル、後者がサブタイトルだったのです。

西田さんもからまるも「世界は一本の線になる」というフレーズが気に入っていたのですが、第三者から見ると何が何だかわからないかも、という不安を抱いたのと、「ジオフェンシング」の話だけではないな、というところから、現在のタイトルに変更していったのでした。

顧客を売り場に誘導していく具体的な技術としてのAR(拡張現実)などがあり、すでにそれを組み込んだサービスがあることを、たとえば出版業界ももっとうまく使えないかな、と思っています。いわゆる「エクスペリエンス」によって顧客を創造していく事例も、この本では紹介しているのですが、紙の書籍は、アップルのコンピュータのように、「モノ」であると同時に、「ワオ!」という「エクスペリエンス」を提供するものでもあります。出版社はどうしても「モノ」ペースで考えてしまうのですが、読者の方々が感じてくださる「エクスペリエンス」ベースで、新しい本の存在、その付加価値を知っていただく努力が足りないかもしれません。

もちろん、著者のトークイベントやサイン会だってエクスペリエンスなのですが、ARのような魅力的なテクノロジーを使うことによって、より楽しいエクスペリエンスが可能にならないか、「欲しい!」という欲求を創造できないか。そんなことも考えて、このタイトルにしたのです。
こんにちは、からまるです。

からまるは3Sの頃からiPhoneユーザーなので、2012年9月のiOS6へのバージョンアップにともなって新登場したアップルオリジナルの地図のヘタレ具合には、多くの人と同様、驚きを通り越してあきれる思いでした。何せ、ほとんど何の情報もない。「パチンコガンダム駅」の存在はニュースで知りましたが、アップルという会社に対する信頼度がぐらつくほどの衝撃度だったと思います。

今度出す西田宗千佳さんの『顧客を売り場に直送する ビッグデータがお金に変わる仕組み』によると、この地図は開発開始から1年半ほどでサービスを開始することになっていて、当初から「完成度が低いのでは」という外部からの懸念があったそうです。そのスピード重視に「躓きの原因が存在した」西田さんは書いています。

では、どうしてアップルは、自らの企業価値を毀損するリスクを冒してまでも、「自らの地図サービス」を作る必要性があったのか? その答えが、音声サービス「Siri」が位置情報と地図を対象にしていることにある、と西田さんは書いています。近くのインド料理店に行きたい、とSiriに聞けば、店の情報と、現在地からそこへの経路を教える、いわばコンシェルジュのような機能を確立することをアップルは目指しているようなのです。

こうして利便性を高める結果、多くの人に使ってもらうことによって、アップルには大量の「行動履歴」が集まります。人が移動する、すなわちそれは、何かをするため。大量の行動履歴を分析すれば、ある属性の人々が「これから何をしたいか」を正確に分析できる。そういう人たちに、その属性にマッチした情報を提供していく。


「どの場所に行くとどういう行為がおすすめなのか、その場所に行くならどのような情報を出すべきか、ということに絡む行為を「ジオフェンシング」と呼ぶ。GPSを使った地域(ジオ)データを使い、現実世界の中に仮想的な「フェンス」を作り出して、そのフェンスに触れた人々に情報を与えることをビジネスにしようという考え方である」(第二章「地図は「一次元化」する」p64)


ここに登場する「ジオフェンシング」あるいは「ジオフェンス」という言葉が、本書のキーワードです。耳慣れない用語ですが、iPhoneをお持ちの方は、設定<プライバシー<位置情報サービスで、オンにすると下のほうに出てくる説明書きで「ジオフェンス」という言葉を見ることができます。

地図を制する者は世界を制す。地図によって行動履歴を集め、属性別にフェンスをかけて人々を囲い込むのです。
こんにちは、からまるです。

もう一つ、今月末に出す本が、西田宗千佳さんの『顧客を売り場に直送する ビッグデータがお金に変わる仕組み』です。

西田さんといえば、IT・ネットワーク関係で、いつも最新の情報をカバーし、ネットメディアや毎月2回出している短編電子書籍「西田宗千佳のRandom Analysis」で、精力的にその取材成果と考察を発表していることで有名です。発表媒体はネット系が多いのですが、西田さんの取材はきちんとリアルで行い、IT業界でカバーすべき企業のトップやキーマンのほとんどにフェイス・トゥー・フェイスでやりとりしています。からまるの頭の中では、ネットのことなら西田さん、という方程式が成り立っているのです。

今年の春先、からまるは久々に西田さんにお会いしました。そのとき、からまるが携えて行った「お題」は、「なぜグーグルは日本で生まれないのか」というものでした。喫茶店でこのお題について意見交換すると、そんなふうにネガティブに見ることはないのでは?というお話。なるほどなー。そして、ちょうど西内啓さんの『統計学が最強の学問である』(2013年1月、ダイヤモンド社刊)がヒットしていた頃ということもあって、ビッグデータ関係で日本企業は実はいろいろと面白いことをやっている、そういうことを一つの世界観で書くほうが未来がある、という話の展開になっていったのです。

そのとき西田さんが興味を持っていたことの一つが、スマホの位置情報を使ったマーケティングです。多数の位置情報を集めることによって、ある属性の人々の行動パターンが分析できるため、逆に、特定の商品やサービスについてニーズのある属性がわかれば、その属性の人々を、スマホのアプリを使って、そこに誘導することができる、というのです(ネットワークに疎いからまるの雑な理解によれば)。

へー、それは面白いと思いました。たとえば、からまるが家を出る。スマホを起動すると、アプリ(たとえばARナビ)を通して、あなたが必要なものは、ここからここに行った、この場所にあると教えられ、地図上に表示される。あとは、その指示する方向に行けばいい。いちいち検索する必要がなく、そういえばあれが必要だったな、とリマインドする必要もありません。じつに効率的に時間が使えますよね。

地図で見ると、まるで一つの点から一つの点に、まっすぐ誘導されていくようなイメージ。これを、本書で取材に応じていただいたヤフージャパンで地図サービスの開発を統括されている方は、次のように述べたのだそうです。

「ルート案内を開始した時点で、地図は一次元情報なんですよ」(第二章「地図は「一次元化」する」p57)

なーるほど! 地図は平面の二次元情報である、とからまるの頭の中でこびりついていた常識が壊れました。地図はこの場合、「現地から目的地までを結んだ一本の線」(一次元情報)になるのです。喫茶店の隅で、西田さんとからまるは同時に声を発しました。

「世界は一本の線になる!」
こんにちは、からまるです。

2020新聞カバー.jpg
長谷川幸洋さんの『2020年新聞は生き残れるか』の表紙はこんな感じです。メイン素材には安倍総理大臣の会見風景の写真を使っています。

こういう写真を使おうという方針は、からまるの中ではけっこう早い段階からありました。ただ、最初はちょっとばかり意地汚く、安倍総理人気にあやかって、安倍さんの顔が大きく写っているものにしようと構想していたのです。しかし、考えてみると、それでは安倍本の一つのようになってしまう。しかも、長谷川さんには、古賀茂明さんが近著『利権の復活』(p25-26)の中で、「安倍政権の進軍を華やかに演出している」外部ブレーンとして名指しているほどの大物ジャーナリストというイメージがあり、必ずしもそれだけではない(たとえば長谷川さんは消費税増税には一貫して反対してきましたし、原発推進にも反対、東電破綻処理論者でもあります)というのに、変な誤解を読者の皆さんに与えてしまいます。

という次第で、総理官邸の会見場全体が見える、この写真に落着しました。長谷川さんとマスメディア・政権との間に、それらを客観視する距離感も演出できたと思います。

写真では、記者の方々がひしめきあって、例外なくノートパソコンに打ち込みまくる態勢にあるようです。安倍総理も「ぶら下がり」をしない方針なので、いま政治報道の現場をイメージするものとして、もっともわかりやすい風景ではないかと思います。そこに黄色の窓を入れたところが、いいアクセントになっていますね。装幀してくれたのは、デザインワークショップの遠藤陽一さんです。

発売は11月28日、税込み価格は1470円です。
新刊『職業、ブックライター。』のスピンオフ企画、「上阪徹のブックライター式文章法」が本日から3日間、講談社のオンラインマガジン「現代ビジネス」で短期連載されます。

こちらも、ご注目を!
こんにちは、からまるです。

長谷川幸洋さんの新刊『2020年新聞は生き残れるか』にまつわる、昨日のエントリの続きです。結果的に新聞記者が取材源である政治家や官僚の意のままに記事を書くことになる現象を、長谷川さんは「ポチ化」と呼びます。ポチとはもちろん犬のこと。権力の犬になってしまうということを含意しています。

誰だって権威には弱いものかもしれません。しかし、新聞社に入社した人たちは、もともと権威に対する疑問があってジャーナリストを目指したのだと思います。しかし、昨日も書いた現実の多忙さもあって、じっくりものを考える時間がない。しかも毎日、記事を書かないといけないし、他の記者よりも優秀なところを見せたい。ほとんどの記者は学生時代、偏差値秀才でしたから、同様に偏差値秀才である取材源の官僚とは話が合う。官僚の考え方やその背景がわかってくる。なるほど財務官僚はすごいな、なるほど日銀マンはすごいな、と知らず知らずに権威に寄り添うようになる。この本を読むと、そういうことが理解できます。

しかし長谷川さんは、こうして権威に弱い記者が生まれていくことの弊害を指摘します。


「日銀や財務省に対して『成績優秀な人たちが仕事しているんだから、間違うはずがない』という思い込みで考えてしまうのである。(中略)思い込みが、いかに日本の言論空間をダメにしているか」(第2章「日銀と財務省に洗脳される記者たち」p49)


もし財務省と日銀の人たちが「間違うはずがない」ならば、どうして日本はこんなに長い間デフレ不況にはまり込んでいたのだろうか。そう考えただけでも、権威に寄り添ってポチになってしまった新聞記者の問題が浮かび上がりますよね。

長谷川さんは既刊の『日本国の正体』(2009年、講談社刊)で、自分もポチだったと率直に書いています。2005年から2008年まで財政制度等審議会臨時委員、2006年から2009年までは政府税制調査会委員を務めており、財務省のスタンスに近い考えだったと述べています。それが変わったのが、まだ財務省にいた頃の高橋洋一さんとの出会いであり、第一次安倍内閣で重要改革の政策作りに携わったことでした。

霞ヶ関中枢の視点から見れば、長谷川さんは自分たちサイドにポチとして取り込めなかった人ということになります。一時はポチだったからこそ、霞ヶ関が記者をポチにしていくプロセス(あなたほど優秀な記者はいませんよ!と言って特ダネを分ける、など)がよく見えるし、記者がポチ化していくプロセスもよく見える。そこがきっちり書かれているところが、今回の新刊の魅力です。
こんにちは、からまるです。

長谷川幸洋さんの新刊『2020年新聞は生き残れるか』について、先週12日のエントリの続きです。すぐれた記者にあって、マスメディア全体にないもの。それは、「政治家が言わない話に迫る」態度だった、と書きました。どういうことなのでしょうか。

新聞記者は、政治家や官僚などの取材相手からネタをもらって記事を書いています。情報を持っているのは取材相手ですから、記者はこのとき、ネタをもらう立場になります。ネタとは、政治家がいろいろな思惑をもって語る話、官僚が推進したいことを記事にしてもらうための政策ペーパーなどの形になっているわけですが、このとき、記者は政治家や官僚の説明をそのまま真に受けて記事を書けばいいのか。そんなはずはありません。

もちろん、記者はみんな多忙です。朝早くから夜遅くまで取材相手の元を走り回り、記者会見に出て会見内容をテープ起こしのようにパソコンに打ち込み(本書によれば、これをトリテキというのだそうです)、必要なメモを本社のデスクに上げなくてはなりません。休憩といったら、夕刊の記事を書き終えた昼休みくらいで、そういう時間帯には記者クラブのソファで記者さんたちが仮眠をとる光景を見ることができます。

でも、だからといって、相手の言い分を鵜呑みにする前に自分の頭で考える記者が少な過ぎないか?と長谷川さんは警鐘を鳴らします。

たとえば、今年の参議院選挙の焦点は景気回復をどう実現するかでしたが、自民党と民主党の政策がどう違うのか、根本のところから書いた記事はあっただろうか、と長谷川さんは疑問を投げかけます。たしかにそうでした。


「メディアが独自に「政党が唱える政策の全体像」を描いてみようとするなら、政党や候補者が語らなかった部分にこそ迫るべきだった。自民党で言えば、アベノミクスの先、つまり「成長についてはわかった。では再分配はどうするのか」と聞く。民主党はその逆だ。「再分配はわかった。では成長をどうするのか」である。つまり双方が言わなかった、あるいは軽視した部分をメディアが追求するのである。私は、それこそメディアの仕事と思う。政党や候補者が言わない、触れない話に迫る。自分たちが独自の立場に立って、相手の政策体系の不十分さ、矛盾点を突いていくのだ」(第3章 なぜメディアは政策をまともに論じられないのか、P97-98)


もし新聞記者がこのように行動しなかったら、記者はジャーナリストではなく、たんなる政府広報機関になってしまいます。というのは、行政機関としての霞ヶ関とは、上司(いちばん上は総理大臣)が言わないことを、わざわざ行う所ではありません。それと一緒になってしまいませんか? かれらが語らないことを聞くのは、ジャーナリストとしての新聞記者の当然の責務だと、からまるは深く頷くのでした。
こんにちは、からまるです。

昨日はこの日記を書くことができませんでした<(_ _)>夕方までにどうしても見終えないといけないゲラがあって、その作業に没頭。その後、昔なじみの仕事仲間との飲み会へ。そこそこ飲んで帰ったら書こうかと思ったものの、みんなでカラオケ大会に突入してしまいました。よく歌ったなー。帰宅したのが未明の時刻となってしまったのでした<(_ _)>

どうしてそんなに弾けてしまったかというと、昨日で、今月出す4冊の本の校了にメドがついて、個人的に打ち上げしたい気分だったからです。ではここで、その4冊をお知らせしましょう。

刊行順に、1冊目はすでに12日に刊行した上阪徹さんの『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法です。出足がなかなか好調のようです。

2冊目は、先日少しご紹介した、東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋さんの『2020年新聞は生き残れるか』。来週からもいろいろと制作エピソードを書きますね。

3冊目は、ITやネットワーク分野のナンバーワン・ジャーナリストとして知られる西田宗千佳さんの『顧客を売り場に直送する ビッグデータがお金に変わる仕組み』。ビッグデータのビジネスにおける応用可能性を平易かつコンパクトに書いた本です。

そして4冊目は、元経産省官僚で数多くのベストセラーを出した古賀茂明さんの『原発の倫理学』。小泉元総理の「原発ゼロ」で俄然注目を集めるようになった原発問題についての言論を集大成したものです。

それぞれに、どうかご注目を!
上阪徹さんの『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法について、日経ビジネスオンラインの「絶賛!オンライン堂書店」にからまるが書いた原稿が掲載されています。

原稿のベースはこの日記に書いていた文章なので、ご覧の方は既視感があるかもしれません(^_^;)
こんにちは、からまるです。

昨日は上阪徹さん『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法の発売日。これに合わせて、上阪徹さんといっしょに、上阪さんの前著『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社刊)が売れた都心部の書店さんに、刊行のご挨拶をしてきました。

三省堂有楽町店.JPG
伺ったのは、訪問順に、ジュンク堂池袋本店さん、天狼院書店さん、リブロ池袋店さん、丸善丸の内本店さん、三省堂書店有楽町店さん、紀伊國屋書店新宿本店さん、同南店さん、ブックファースト新宿店さん、同渋谷文化村通り店さん、ジュンク堂渋谷店さんです。事前に販売担当者が連絡を取っていたので、無事に売り場主任の方にミニプレゼンをすることができました。上阪さんが簡潔に「本をつくる仕事をしませんか?」と書いたPOPを渡せたお店もあります。

どの書店さんでも上阪さんの名前は浸透していて、とてもいい場所に置いてくださっていました。中でも三省堂有楽町店さんは、写真のように1階新刊コーナーの上のほうの棚に大・大展開していただき、上阪さんも驚愕していました。本当にどうもありがとうございます<(_ _)>
こんにちは、からまるです。

新刊『2020年新聞は生き残れるか』を刊行する長谷川幸洋さんに初めてお会いしてから、かれこれ6年くらいが経ちます。この間、「懇談」と名付けて、ときには素面で、ときにはお酒を交えて、何度もお話を伺ってきました。これはからまるにとって、教えられることが大変多い時間だったのです。

2008年刊行のデビュー作『官僚との死闘七〇〇日』は、第一次安倍政権での年金改革、税制改革、道路特定財源の一般財源化、国家公務員制度改革といった重要政策課題における改革で、官僚機構の中枢である財務省との攻防戦を描いたものです。この本はすでに絶版になっていますが、興味のある方はアマゾンのページにある「内容紹介」をご覧いただければと思います。当時のからまるが書いた文章ですが、我ながら熱い!

それはともかく、政権中枢でここまで改革にかかわった希有な経験をお持ちの長谷川さんは、安倍政権が終わった後、政権交代を経ても、つねに政局と改革の最前線に立ち、政治のキーマンたちに生身で接してきました。そのため、政治の分析がものすごくシャープで、「へー、そんなことになっていくのか」と、からまるは新聞やテレビで通常、見聞きするレベルとはまったく違う見通しを持つことができました。と同時に、マスメディアでは、長谷川さんをはじめとして、すぐれた識見を持つ記者がいるのに、どうして全体として、そうした記者の方々から聞くような秀逸に分析を見聞きすることができないのだろう、と思っていました。

『2020年新聞は生き残れるか』の原稿を読んで、その疑問が解けました。すぐれた記者にあって、マスメディア全体にないもの。それは、本書にある見出しの表現を使うと、「政治家が言わない話に迫る」態度だったのです。
こんにちは、からまるです。

先月末の「朝まで生テレビ!」にも出演するなど、テレビの世界でも活躍中のジャーナリスト、長谷川幸洋さんの新刊を出します。タイトルは『2020年新聞は生き残れるか』。長谷川さんが満を持して、真っ正面から問うジャーナリズム論であり、新聞の未来予測です。

ご存じの方も多いと思いますが、長谷川さんは現役の新聞記者です。しかも、東京新聞論説副主幹という肩書きを持つ、新聞の社論を作る幹部記者です。こんな著名な新聞記者が、東京新聞も含めて、今の新聞と新聞記者の現状を、本書で厳しく批判しています。それは同時に、容赦ない自己批判でもあるわけで、これを身を削るような執筆と言わずして、何と言うのでしょう。

振り返ると、長谷川さんの本を初めて出したのは、2008年7月のことでした。それが3万部のベストセラー『官僚との死闘七〇〇日』で、長谷川さんのデビュー作になります。それまでにも匿名で数多くの政治と政策に関する記事を雑誌で書いてきた長谷川さんに、「是非、実名で」とお願いしたのが、このときです。以来、からまるは長谷川さんにお世話になりっぱなしなのです。
文庫版ラストバンカー.JPG
こんにちは、からまるです。

一昨年の10月に出した西川善文さんの『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』が満を持して講談社文庫に登場します。

写真は編集部に届いたばかりの見本。サイズが小さくなっても迫力のある表紙ですよね。テレビドラマ「半沢直樹」が退屈になるほどリアルな銀行員ストーリーを、この機会に是非、お楽しみください!

来週の11月15日に全国一斉発売です。
こんにちは、からまるです。

昨日のエントリの続き。上阪徹さんが『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法に掲載する草稿として、著者名も著書名も伏せたものを送ったところ、藤原和博さんから上阪さんの元に届いた返信は、なんと、「藤原和博著『坂の上の坂』とはっきり出してほしい」「すべて明かして、まったく問題なし」「思いっきり、すべて実名で事実を書いて」というものだったのです。

その理由がまた素晴らしい。

「大事なのは、イノベーションですから。」

そうおっしゃったそうなのです。

これには、正直なところ怖ず怖ずといった感じで許諾を取りにいった上阪さんはもちろん、からまるも飛び上がるほど驚いてしまいました。ライターさんがゴーストライターとして書いた本の著者から、その制作の経緯を「すべて明かして、まったく問題なし」と言われるなんて、たぶん出版業界初の出来事。いかに上阪さんが著者に信用されているかがよくわかります。

そして、そのアドバイスにしたがって、上阪さんは本書で、ゴーストライターとして行った『坂の上の坂』の執筆経緯を、すべて包み隠さず書いたのです。こんなことが刊行物に掲載されるなんて、これもたぶん出版業界初の出来事! さすが藤原さんはラジカルです。この場を借りて改めて御礼申し上げます。また、版元として掲載を快諾していただいたポプラ社さんにも御礼申し上げます。どうもありがとうございました<(_ _)>

発売はいよいよ来週の12日です。税込み定価は1470円。当日は上阪さんといっしょに都内の書店さんに新刊ご挨拶のために伺う予定にしています。
こんにちは、からまるです。

職業ブックライター_帯あり.jpg
上阪徹さんの『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法の見本が今日、到着しました。ブックデザインもふっくらと、いい具合に仕上がっていて、きっと皆さん書店で手に取りたくなるのではないかと思います。

目次は次のようになっているんです。

第1章 ブックライターの仕事はこんなに楽しい 仕事のスタイル
第2章 ブックライターの仕事のパートナー 出版社・編集者との関係作り
第3章 素材が七割、書くのが三割 企画と取材
第4章 「二五〇枚を一本」ではなく「五枚を五〇本」 目次を作る
第5章 毎月一冊すらすら書く技術 書き方と時間管理
第6章 ブックライターとして生きていくには 仕事に向かう心構え

内容はおおむね、この見出しで想像していただけるでしょうか。第5章の「毎月一冊すらすら書く技術」は、3日で一冊書き上げた最短記録ホルダーの上阪さんならではの、強烈な説得力があります。

あえて一つ、本書の白眉を挙げるとすると、第4章の目次作りのところで、藤原和博さんの『坂の上の坂』(ポプラ社刊)の制作を実例として取り上げた「ベストセラー『坂の上の坂』(藤原和博著)の目次はどう作ったか」でしょう。

本を一冊書くときの肝は、じつは書くこと自体ではなくて、目次作りにあるというのが、上阪さんの方法論です。その説明をするには、実際に上阪さんが行った目次作りの実例を書く必要がありました。しかし、いくらブックライターという概念を本書で提唱するにしても、従来の仕事について具体的に著者名と書名を出して書くのは憚れます。だから、それらをわからないように伏せて書いた草稿を、著者の方に許可を取るために上阪さんがお送りしたのです。

そのうちのお一方が藤原和博さんでした。藤原さんから上阪さんに届けられた返事は、じつに意外なものでした――。

節目の11月到来!

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こんにちは、からまるです。

1週間ほどお休みしているうちに、11月になりました。実は昨日11月4日はからまるの誕生日だったのです。せっかく祝日になったので、その日だけは仕事をしないようにと思い、三連休のうち2日と3日は会社で机に張り付いていました。

そうやって机に張り付いた結果がどんどん出てきますよ今月は。明日からいろいろなご報告ができます。

そして、今年の11月は、からまるにとって編集者仕事の節目になりそうです。今月の過ごし方で将来ががらりと変わりそうな気配。明日からは、その緊張感もお伝えできればと思っています。

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