『欧州統合、ギリシャに死す』の竹森俊平さんがポール・クルーグマンさんと公開対談を行うというので、今朝、会場のパレスホテルに行ってきました。みずほ証券が主催する「ミズホ・インベストメント・カンファレンス2015」でのイベントです。
対談といっても、前半はクルーグマンさんの基調講演でした。面白いところを、ごく簡単に箇条書きにすると、
・インフレターゲットは2%ではなく4%にすべきだ。
・日本経済は欧米がこれから入ろうとする道にすでに入っている。
・ウーマノミックス(女性の労働参加)が日本経済の鍵。
・移民問題で、教育水準が高い女性を受け容れれば10年の時間が稼げる。
・「期待」と「量的緩和」、どちらの効果が大きいかといったら、圧倒的に「期待」。
・アベノミクスは「成長」で期待外れ。
・消費税増税は大失敗、レジュームチェンジの期待が打ち砕かれた。
・構造改革は重要ではない。財政政策と金融政策でデフレを終わらせることが大事。
・日銀は追加緩和すべき。
また、竹森さんのディスカッションでは、やはり中国経済にも焦点が当たりました。
・中国のことがいちばん恐い。
・農村から都市への労働力移動は今、収穫逓減の段階。
・中国の成長率は3~4%にまで減速する。
・元は下落の一途となる。
・中国からの資本逃避は安定させられない。
最後に司会者からの質問に答えて、
・FRBは今月は利上げをしないだろう。
こうして並べてみると、さまざまな機会で触れるクルーグマンさんのいつもの持論かもしれません。しかし中国への悲観的な見方(とくに経済成長率)は参考になるように思いました。