エルヴェ・ファルチャーニさん『世界の権力者が寵愛した銀行』が見せるのは、小悪党脱税犯ではなく、大富豪たちの行状。

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こんにちは、からまるです。

先週の日記で、エルヴェ・ファルチャーニさんの原書直訳「脱税犯たちの金庫」とはタイトルをずいぶん変えて、『世界の権力者が寵愛した銀行 タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白』というタイトルにしたことを書きました。

日本語で「脱税犯」というと、いつもワーストランキングに挙がるような、言葉は悪いけれど小悪党のようなイメージではありませんか? しかし、この本で問題にしているのは、もっと桁違いの大富豪たちの脱税をHSBCは幇助していたのではないか、かれら上得意さんたちへの特別サービスとして、タックスヘイブンを使ったマネーロンダリングをファンドマネジャーたちは提供していたのではないか、という点なのです。

以前、この日記でからまるはFIFA幹部の汚職事件について6月に次のように書いたことがあります。

「FIFA(国際サッカー連盟)スキャンダルの裏金についてスイスの検事総長が初めて記者会見を行ったという記事が日本経済新聞に載っていました。それによると、「資金洗浄の疑いがある銀行の取引を50件以上把握した」のだそうです。さらに「すべての取引が複数の口座にかかわるものだ」とし、「金融機関から53件の疑わしい銀行決済について報告を受けた」と述べたようです」

じつはそのときは本書の原稿整理をしていた頃で、原稿に書いてある実態をとてもリアルに感じたものです。この世には絶対にオモテに出せないカネがある。汚い裏金や隠したい相続財産など、摘発されれば追徴課税を食らうだけでなく、刑事告発されたり、職を失ったりするような場合もあるでしょう。

でも、そうした「隠したい」カネだって、多額であればあるほど、銀行口座を通らないわけにはいきません。そして、どんな性質のカネであれ、多額であればあるほど、銀行にとっては扱い手数料を稼がせてくれる上客です。であるなら、銀行が積極的にそうしたカネを扱うのは当然なのでしょう。では、黒いカネかどうかを銀行は知っていたのか? 本書でファルチャーニさんは、ファンドマネジャーたちは知っていたはずだと書いているのです。

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このページは、karamaruが2015年9月 8日 19:00に書いたブログ記事です。

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