2016年7月アーカイブ

こんにちは、からまるです。

来月は+α新書でも新刊を出すのです。タイトルは『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』。著者は凸版印刷さんでブランディング・ディレクターとして活躍する佐藤圭一さんです。

読んで字の如くブランディングの本なのですが、どうも「ブランディング」という言葉だけだと、「ああブランドのことね」とスルーされてしまう可能性がありますよね。そこで何度かディスカッションするうちにできたのが、メインタイトルになっている「選ばれ続ける必然」という言葉です。

からまるの念頭にあったのは、東芝と三菱自動車の不祥事でした。両社ともひじょうにすぐれた技術を持ち、素晴らしい品質の商品を開発してきました。でも、その会社が不祥事を起こすことによって、会社に対する信頼が揺らぐと、たとえ品質のよい商品であったとしても、お客は選択肢から外します。ということは、お客は商品そのものだけでなく、その商品を作っている会社の人格みたいなものをじっと見ている。めまぐるしく新しい商品を出しても、人格はそんなに変わらないから、「この人格が作ったものだから、きっといいものなのだろう」と信頼する。そうして「選ばれる」段階から「選ばれ続ける」段階に移っていく。その「必然」を創造していくのがブランディングではないのか、というプロセスで、このメインタイトルにたどり着いたのでした。

来週はこの魅力的な新刊の話題を。週明け月曜日は休暇を取りますので、また来週火曜日に!

こんにちは、からまるです。

「オリンパス事件自体が一般にはもう過去のもの」と昨日のエントリで書きましたが、それはあくまで世間一般にとってという意味で、山口義正さんにとっては、まだこの事件は何も終わっていません。オリンパスの資金が流れた先がどうなったのか、国内に留まらない話でもあり、実はまだそれほど解明されてはいないのです。

今回、書き下ろされた文庫版あとがきによると、『ザ・粉飾 暗闘オリンパス事件』に登場するある人物は、例のパナマ文書にも名前が載っているのだそうです。そして、この文庫版あとがきで山口さんが宣言しているように、親本が刊行された2012年の春以降、ずっと継続している追及は、遠くない将来に、その内容が明らかになる予定。山口さんの次作をお楽しみに!

こんにちは、からまるです。

山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』も8月に+α文庫になるにあたり、タイトルが変わります。文庫版のタイトルは、『ザ・粉飾 暗闘オリンパス事件』となり、メインタイトルになる部分(じつは親本は全部メインタイトルだったのですが)が思い切り短くなりました。

やはり文庫のタイトルは短いほうがいいというルールがあるらしいことと、オリンパス事件自体が一般にはもう過去のものという認識があり、事件が生々しい最中に考えたタイトルよりも、一歩引いて、あの事件の問題の核心を衝いたタイトルをつけたほうがいいという議論の結果です。

最初は「粉飾」だけにしようと考えていました。でも、「粉飾」そのものが事件の核心ではない。オリンパスの場合は通常とは異なる粉飾事例であって、たとえば東芝のように会社やグループの中では終わらず、その粉飾は外部の金融プロを指南役にして行われ、じっさいに自己資本がかれらに向けて流出したのでした。それで、別の案をあれこれ私と山口さんとで出し合い、いろんな議論の末、今後とも語られるであろう現代的で典型的な粉飾であるという意味を込めて、『ザ・粉飾』としたのです。

こんにちは、からまるです。

今月刊行の石塚健司さん『ひどい捜査 検察が会社を踏み潰した』に続き、8月にも+α文庫の担当作があります。山口義正さんの『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』です。親本は2012年の3月に出しました。

オリンパスが売り上げがわずかしかない3つの会社を、後に金額が判明したところでは700億円もの巨額で買収したことを山口さんはオリンパスに勤務する友人から聞きます。これはどう考えてもおかしい。何かあるにちがいない。日経平均株価採用銘柄でもある名門企業が、まさか、と思いながらも、友人から得た取締役会資料などをもとに、たった一人の調査を続けた山口さんは、ついにその怪しい企業買収の全貌と、買収スキームを使った粉飾決算、それを指南した怪しすぎる金融プロたちの存在を、一つ一つ突き止めていきます。世に言うオリンパス事件を発覚させたのが、山口さんの一連の調査報道でした(雑誌ジャーナリズム賞「大賞」受賞)。

まさに手に汗握る追求劇。粉飾の秘密を知らずに社長になっていたマイケル・ウッドフォードさんと、山口さんが最初の記事を発表した月刊誌「FACTA」の編集長だった阿部重夫さんの濃いキャラもてつだって、告発ものとして経済ノンフィクションの真価を発揮しただけでなく、個人対大組織、隠蔽側と暴く側のバトルものとしても面白いノンフィクションなのです。

こんにちは、からまるです。

すでに先週、発表されたように、今年の講談社ノンフィクション賞は、長谷川康夫さんの『つかこうへい正伝 1968-1982』(新潮社刊)の単独受賞となりました。7月20日の選考会をからまるも傍聴しました。じつは今回の最終候補作5作品の中に、からまるのお知り合い本があったので、結果にはやや複雑な心境もあるのですが(それでも銀座で盛大に?残念会を行いました。太っ腹な人たち!)、本書は文句なしの受賞だと思います。

とにかくこの本は面白い。「1968-1982」に出来事を絞り、とくに1970年代のつかこうへいの演劇創造に、いろいろな役回りでずっと振り回されてきた著者にしか書けない、つかさんという人の破天荒さ。からまるは80年代にパルコ劇場でかかるようになった後半期の芝居しか見ていないのがとても残念なくらいです。そして、どうしてつかさんの芝居があれだけの人を動員したのかが、はっきりとわかるような思いがしました。

選考会での議論は選評として後日、発表されます。570ページの大著だし、演劇論の部分も多いしで、けっしてとっつきやすい本でないことは確か。でも、からまるは映画でしか見られなかった銀ちゃんとヤスのねちっこい応酬の肉声が、まるで紙面から立ち上ってくるような読後感でした。

こんにちは、からまるです。

昨日発売の+α文庫、石塚健司さん『ひどい捜査 検察が会社を踏み潰した』。なぜ親本のメインタイトル『四〇〇万企業が哭いている』をそのように変えたのか、もう一つの理由は、「特捜検察批判」というこの本の性格をはっきりさせたかったことです。

親本のメインタイトルは、中小企業社長の目線に寄っています。決算書を粉飾しないと銀行融資がおりない現実、しかも銀行員がそれを知りながら融資するために黙認する現実を強烈にあぶり出したのが、本書に書かれた事件です。一般株主がいない非上場の中小企業なら誰も被害感情を抱かないこうした現実に、外部から「正義」の看板を笠に着て土足で踏み込んでくる検察。法律とはいえ、社長たちは破産し、取引先や家族に甚大な被害を及ぼすのは、いくら何でも理不尽ではないのか。この非情な構図を描ききったところに、本書のノンフィクションとして傑出したところがあります。

文庫では、その検察の問題を直接的に取り上げるタイトルにしました。『ひどい捜査』とは直接的過ぎるかもしれません。からまるは「暴走捜査」というのも考えたのですが、石塚さんは「暴走」ですらない、直裁的に「ひどい」ものだったというのが実感のようでした。

こんにちは、からまるです。

からまるにとって2冊目となる「+α文庫」の担当作、石塚健司さんの『ひどい捜査 検察が会社を踏み潰した』が、本日発売となりました。親本は2012年9月に刊行した『四〇〇万企業が哭いている ドキュメント検察が会社を踏み潰した日』です。文庫版なので、タイトルこそ違えど、内容は同じで、説明をわかりやすくするなどのマイナーチェンジを石塚さんが施しています。また、後日談を綴った文庫版あとがき「それから~文庫版によせて」が加わっています。

ひどい捜査.jpgタイトルはずいぶん短く変えました。理由の一つは、文庫は表紙が小さいので、タイトルが長いとインパクトを強くできないのではないかと思ったことです。写真でご覧のように、その効果は出ているのではないかと思います。

帯の写真はオリジナル画像で、刑務所に入れられた人間のイメージです。もちろん現在の日本の刑務所にはこんな檻のような格子はありません。あくまでイメージなのですが、うまく伝わっているでしょうか。

コピーにある「社長が手塩にかけて育てた、その小さな会社を、検察は平然と葬り去った。最も残酷かつ巧妙な方法で」がうまいと思いません? これは石塚さんがみずから考えたもの。切迫感が募ります。

こんにちは、からまるです。

昨日の続き、キュレーションサイトの話題です。「MERY」に載っている、いわゆるペラサイト・レベルの文章を書く人たちも、募集サイトを見ると「ライター」と呼ばれているようです。でも、「内容は文章を書くのが面倒なら、他サイトから引用して引っ張ってくるとラクです」と平然と言える人は、本当に「ライター」なのでしょうか。きっちり本を書けるホンモノのライターと「MERY」のライターを同列に比較すること自体が意味のないことなのかもしれません。でも、「上阪徹のブックライター塾」の活動をしている立場から見ると、ただ傍観するわけにいもいかないと思っています。

たまたま昨日は、ブックライター塾出身の佐藤友美さんが初の著書『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)を出した記念のトークイベントが青山ブックセンター本店で開催され、からまるも聞いてきました。本を書くライターになろうとした大きな人生上の出来事など、プライベートな話も聞けました。美容の記事だって、こうしたライターさんが、人生かけて書いているのです。今は本のコンテンツもウェブの長文記事も執筆ノウハウはそんなに変わらない。佐藤さんもウェブでたくさん記事を書いています。こういう方々の記事まで「他サイトから引用して引っ張ってくるとラクです」の対象になるのだとしたら堪らないな。

他サイトから引用して引っ張ってくるとラクです」を、ライターの世界ではパクリといいます。他人の才能や努力を無断でパクって、自分だけアフィリエイト収入をかすめ取る、たかだか1本1000円くらいの記事で。なんなんですかね、この現状。

こんにちは、からまるです。

夏休みから戻ってきました。先週の日曜日から金曜日までの6日間、軽井沢でのんびりしてきました。パソコンを持っていったので、メールで済む仕事は何とかなり、無事にまるまる1週間休むことができました。本当に何年ぶりのことでしょうか。

久しぶりの経験だからか、最初の数日は就寝中にものすごくリアルな仕事の夢をぞくぞくと見ました。いま進行中の仕事の真にリアルな夢から、仕事仲間のある人が別の仕事仲間とあり得ないシチュエーションに陥っている奇妙なものまで、細切れにいくつも見るんですね。ところが、5日目くらいになると、まったく夢というものを見なくなりました。それでようやくリフレッシュした感じがします。仕事の夢を見る間は、なんらかのストレスを溜めた状態だったのでしょう。

さて、その夏休み最終日になって、「うーむ」という記事を目にしてしまいました。若い女性向きの「キュレーションサイト」に「MERY」というのがありますね。それが紙の女性誌を3月に創刊し、5万部を売ったという話です。これ自体はとっくに知られているニュースで、分野違いのからまるは本当に先週初めて知ったのですが、では、なにが「うーむ」かと言うと、そのサイトに膨大に上がっている個々の記事のレベル感。なんというか、よくある感じ。超紋切り型。

気になって、どういう人が記事を書いているか、簡単にググると、記事を多産している女性のノウハウサイトが見つかりました。で、そこでぶつかった文章が、

「内容は文章を書くのが面倒なら、他サイトから引用して引っ張ってくるとラクです」

はい?(明日に続く)

こんにちは、からまるです。

昨日のエントリで書いた映画「Fake」についての続きです。佐村河内さんのお宅を、アメリカの某雑誌の編集者と記者が訪れます。この訪問は、一連の騒動の記事を書くための取材が目的で、日本語ペラペラの編集者が通訳役を果たしています。

もっとも心に残ったのは、騒動の発端となった新垣隆さんインタビュー記事(週刊文春)の筆者、神山典士さんにも話を聞いたのか、と佐村河内さんから訊かれたときに、「当然、私たちは関係者全員に話を聞いている」と編集者が答えている場面でした。そりゃそうだろう、と思われる方が多いかもしれませんが、このように関係者が鋭く対立している問題で、すべての関係者(この場合に限れば佐村河内さん、新垣さん、神山さん)にしっかり取材して書かれたものは少ないのが現状なのです。「ノンフィクション」作品といっても、扱う問題の当事者の一部にしか話を聞けず、話が聞けた当事者によって著者の目に映った「事実」しか書かれていないケースだってあります(この映画の場合でも、監督の森達也さんは新垣さんと神山さんに取材を申し込んだにもかかわらず、取材できていません。だからといって当事者ドキュメンタリーが成立しないわけではありませんが)。

この当然のことを、佐村河内さんを訪ねた記者たちは淡々とこなしていきます。厳密にファクトチェックしようとするジャーナリストの仕事ぶりを感じさせます。それに驚くこと自体が、どうかしているのかもしれないけれど...。

ファクトチェックといえば、アメリカのメディア事情にくわしい方から聞いたところによると、一流誌には記事を書く記者とは立場の異なる第三者のファクトチェッカーがいて、記者が当事者に話を聞いて記事に書こうとしている項目について、その当事者に長い質問リストを送って「本当にあなたはこれこれについてこう言ったのか?」と確認をしてくるのだそうです。当事者がNOと言えば、それは絶対記事には書かれない。システムとしてそうしているのです。

     *     *

来週は早めの夏休みを取りまして、この日記はお休みです。数年ぶりに1週間まるまる休めそうで(できると信じていますが)本当にラッキー。また、7月19日に!

こんにちは、からまるです。

周囲で話題のドキュメンタリー映画「Fake」(監督、森達也 出演、佐村河内守)を遅ればせながら渋谷のユーロスペースで見てきました。いろいろな意味で面白く興味深い作品でした。

多くの人が関心を抱くポイント(本当に聴力がないのか? 本当に作曲できるのか?)とは違ったところでからまるの印象に残ったのは、来客として訪れる3組のメディアの方々です。フジテレビの二つの番組の、それぞれの責任者たちと、アメリカの雑誌メディアの編集者+記者です。

まずフジテレビの方々(とくに二番目の大晦日特番への生出演の依頼)。みなさん企画書を見せて、出演を交渉されています。ただしバラエティ番組なので、司会者は芸人さんです。佐村河内さんの懸念を先取りするように、番組責任者の方が、芸人さんとはいえ、けっして佐村河内さんのことを笑いの対象にすることはありません、とおっしゃします。しかし、企画書の中には「2014年を笑い飛ばす」と書いてあります。それを佐村河内さんが指摘すると、「いやいや、そうは書いてありますが...」とあいまいに否定するような物言いに。佐村河内さんが「マスコミには間違いを正してほしい」と訴えると、4人の来訪者が一斉に深くうんうんと頷きます。

おそらく、からまるも同じ立場だったら、これと同じように振る舞うと思うのです。ご本人になんとか出てほしい(あるいは本を書いてほしい)。そのためなら、まずはご本人の意に添わなければ話が始まりません。そうしないマスコミ人がいることのほうが考えられません。でも、この場面、どうしようもなく滑稽に見えてしまいました。観客の方々もそうだったのではないでしょうか。

佐村河内さんはこの出演依頼を断ります。実際にこの番組に出演したのは、新垣隆さんでした。新垣さんは芸人さんたちに笑いの対象としていじられ、けっこう無理なことをやらされていました。出演者が違えば展開も違うでしょうが、佐村河内さんとしては、自分もこうされたのではないかという思いを抱くのは当然だと思います。テレビ番組を面白くするために、視聴率を取るために、なぜ自分が出なくてはいけないのか?

でも、それをやっているのが、からまるたちです。ここには、普段見ることができない、相手から見たからまるの振る舞いが、じつに戯画的に映っていました。

計画性がないのを反省しとります。

こんにちは、からまるです。

5月に出張したトロントでは、ブライアン・オーサーさんに長時間のインタビューを行いました。その文字起こしの翻訳が、いま着々と届いています。素晴らしくクリアな翻訳なので、苦手な英語ではどうしてもぼんやりとしていたオーサーさんの話がよく理解できます。とても面白く、興味深い話が続出です。

まとまるのはまだまだ先のことになりますが、充実した内容になるのは確実。フィギュアスケートをもっと楽しみ、リスペクトするために、頑張りたいと思います。

こんにちは、からまるです。

昨日は京都に出張してきました。久しぶりの京都です。まだそんなに蒸し暑くはなく、快適な気候でした。

どんな用事で行ったのかはお知らせできないのですが、からまるは駆け出しの頃、よく京都に行っては京都大学の先生方などとお話ししたり、ときにはお酒を飲んだりした思い出があります。京都は、そういった方々との交流によって成長もさせてくれた街です。鴨川を見ていると、その頃のことを思い出して、感傷的になりますね。

今回もとても大きな成長を実感させてくれました。いつかきっと、ご報告できるような結果があると思います。

このアーカイブについて

このページには、2016年7月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2016年6月です。

次のアーカイブは2016年8月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

月別 アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 6.2.4