映画「Fake」はノンフィクションの作り方も考えさせられる。

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こんにちは、からまるです。

昨日のエントリで書いた映画「Fake」についての続きです。佐村河内さんのお宅を、アメリカの某雑誌の編集者と記者が訪れます。この訪問は、一連の騒動の記事を書くための取材が目的で、日本語ペラペラの編集者が通訳役を果たしています。

もっとも心に残ったのは、騒動の発端となった新垣隆さんインタビュー記事(週刊文春)の筆者、神山典士さんにも話を聞いたのか、と佐村河内さんから訊かれたときに、「当然、私たちは関係者全員に話を聞いている」と編集者が答えている場面でした。そりゃそうだろう、と思われる方が多いかもしれませんが、このように関係者が鋭く対立している問題で、すべての関係者(この場合に限れば佐村河内さん、新垣さん、神山さん)にしっかり取材して書かれたものは少ないのが現状なのです。「ノンフィクション」作品といっても、扱う問題の当事者の一部にしか話を聞けず、話が聞けた当事者によって著者の目に映った「事実」しか書かれていないケースだってあります(この映画の場合でも、監督の森達也さんは新垣さんと神山さんに取材を申し込んだにもかかわらず、取材できていません。だからといって当事者ドキュメンタリーが成立しないわけではありませんが)。

この当然のことを、佐村河内さんを訪ねた記者たちは淡々とこなしていきます。厳密にファクトチェックしようとするジャーナリストの仕事ぶりを感じさせます。それに驚くこと自体が、どうかしているのかもしれないけれど...。

ファクトチェックといえば、アメリカのメディア事情にくわしい方から聞いたところによると、一流誌には記事を書く記者とは立場の異なる第三者のファクトチェッカーがいて、記者が当事者に話を聞いて記事に書こうとしている項目について、その当事者に長い質問リストを送って「本当にあなたはこれこれについてこう言ったのか?」と確認をしてくるのだそうです。当事者がNOと言えば、それは絶対記事には書かれない。システムとしてそうしているのです。

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来週は早めの夏休みを取りまして、この日記はお休みです。数年ぶりに1週間まるまる休めそうで(できると信じていますが)本当にラッキー。また、7月19日に!

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このページは、karamaruが2016年7月 8日 14:25に書いたブログ記事です。

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