「The Memory Illusion」の翻訳タイトルは『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』

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こんにちは、からまるです。

日記を休む前のエントリで書いた翻訳書「The Memory Illusion」のことが中途半端になっていました。翻訳のタイトルは、『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』といいます。後ろがサブタイトルですね。原題を、サブタイトルも含めて直訳すると、「記憶の幻想 想起、忘却、そして過誤記憶の科学」になり、このままでは硬すぎると思って日本版オリジナルのタイトルにすることにしました。

最初は「記憶という病」などを考えました。「○○の病」というベストセラータイトルに乗っかっただけなのはわかっていたので、内容を熟読してからちゃんと決めようとも考えていました。前にも書いたように、「記憶はウソをつく」系のタイトルはたくさん出ていますし、もともとそのコンセプトに留まる本ではありません。本書の魅力が伝わり、特徴が出るようにするにはどうしたらいいのか?

ここで本書の章見出しをご紹介しましょう。次の通りです。

第1章 人生最初の記憶 なぜ、あり得ない出来事を記憶するのか?
第2章 損なわれる記憶 なぜ、不正確な記憶で世界を解釈するのか?
第3章 脳の創造メカニズムと過誤記憶 なぜ、脳は間違って記憶したがるのか?
第4章 記憶の魔術師たち なぜ、完璧な記憶力を持つ人がいないのか?
第5章 潜在意識の記憶 なぜ、サブリミナルにハマるのか?
第6章 優越の錯覚 なぜ、自分の記憶を過信するのか?
第7章 植えつけられる偽の記憶 なぜ、衝撃的な出来事を間違って記憶するのか?
第8章 無数の共同目撃者 なぜ、正しくなくても同調するのか?
第9章 秘密の悪魔的儀式 なぜ、記憶を取り戻す治療が流行するのか?
第10章 記憶力を活用する なぜ、奇妙なものほど忘れないのか?

メイン見出しの半分は意訳し、「なぜ」以下のサブ見出しはすべてオリジナルです。さて、これらのなかで、どれがいちばん本書らしいのか。記憶科学者の「過誤記憶」の本なので、第1章の「なぜ、あり得ない出来事を記憶するのか」のような気もします。でも、何度も原稿とゲラを読んで、もっともボリュームがあり、著者のジュリア・ショウさんが入れ込んで書いているように思えたのが、第3章「脳の創造メカニズムと過誤記憶」でした。

でも、当初、ひょっとしたら全カットしてもよくないか?と思ったのも、この第3章だったのです。何しろ章の書き出しが、いきなり次のようなものだったのです。

「そうですか。記憶の本は読みたいが、脳生物学の話はあまり聞きたくないと? そう思う人もいるだろう。それなら、この章は飛ばしてください。動物学や生化学、記憶理論の歴史にどっぷり浸かる気になれないなら、それでも結構だ。その分野の原理をよく知らなくても、あとの章を理解できる。けれども、科学という名がつくものは何でも好きという人なら、記憶とは何かがはっきりわかるから、読み進めてほしい」

シナプス、ニューロン、海馬と、どっぷり脳科学の理論が書かれます。ちょっと迂遠ではないかな、と思ったのですが、しかし読めば読むほど、つまり「どっぷり浸かる」ほど、この章の面白みにハマっていったのでした...。

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このページは、karamaruが2016年12月 8日 18:21に書いたブログ記事です。

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