2017年11月アーカイブ

こんにちは、からまるです。

『「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法』(中室牧子・津川友介著、ダイヤモンド社)は、今年2月に刊行されて以来名著の誉れが高いので、ようやく読んだからまるが、いまさらご紹介したところで遅きに失したとしか言いようがないのではありますが、でもこれは本当にアッパレ本ですね。

「因果推論」と書くとむずかしそうですが、「因果関係」と「相関関係」の違いを見抜くことの大切さを、ひじょうに丁寧に根気強く説いています。ビッグデータの時代だからこそ必須の知識なのでしょう。

そのふたつの違いがどうしてそんなに重要なのか。本当は相関関係しかなかった複数のデータを因果関係だと間違って推論したがゆえに起こる不幸が、とくに国家の政策ではひじょうに大規模になるからのようです。「因果関係を検証することなしに、一見すると効果があるように見える政策を実施することは、何より国民に大きなリスクを負わせているのだということを忘れてはなるまい」(p112)という指摘は刺さりました。実際に、消費税増税、後期高齢者の医療費自己負担率、ゆとり教育などはどうだったのでしょうか。いま議論されている高等教育の無償化は?

因果関係と相関関係を正確に区別するのは、エビデンスとエビデンスとはなり得ないものを正確に区別することでもあります。エビデンス(科学的根拠)とは「因果関係を示唆する根拠」(p48)のことだからです。

あったりまえじゃん!と思われるかもしれません。でも、からまるたちの仕事でも、エビデンスがしっかりしていない企画や原稿を通してはいけないとわかっていながら、えてして相関関係しか示唆していないものをエビデンスと捉えてしまっているのかもしれません。その気付きだけでも得るところの大きい本だと思うのでした。

50歳からの出直し大作戦.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像こんにちは、からまるです。

新聞各紙で既報の通りですが、2016年9月に刊行した『50歳からの出直し大作戦』(+α新書)の出口治明さんが来年、立命館アジア太平洋大学(APU)の第4代学長に就任することになりましたね。実業界きっての教養人として知られる出口さんが、留学生と日本人が半数ずつ在籍するユニークな大学のトップになる。なるほどな思いました。

来月下旬に壮行会が行われるそうなので、ご様子を伺いたいと思っています。これからも注視したいですね。

また明日に!

こんにちは、からまるです。

一昨日土曜日、たまたまクルマを運転する機会があり、何気なくNHKラジオを聞いていたところ、ちょっと面白い特集番組がありまして。NHKのEテレのプロデューサーたちが何人か出演し、最近のEテレはなぜ先進的な番組が多いのかを、当事者たちが語り合っていたのです。

とくに面白かったのは、総合テレビではできなくてEテレではできることは何かという話題でした。あるプロデューサーは先輩に、「おまえの作った番組はわかりやすすぎる」と言われたのだそうです。総合テレビと違って、Eテレはわざわざ見に行く視聴者が多い。その番組内容に高い関心をもって見に来る人に、総合テレビのように、わかりやすくわかりやすく作ると、かえって興味をもってもらえない。すこし疑問が残ってじっと考えたくなるくらいがちょうどいい、とアドバイスを受けたのだそうです。

たしかに、本作りでもまず「わかりやすく」を考えます。でも「その本をわざわざ買ってくださる」読者の方々にとっては、それが最善でない場合があるのかもしれません。自分の仕事を振り返ってみるポイントになりそうです。

こんにちは、からまるです。

『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(鈴木貴博さん著)を出したから気付くのでしょうか、からまるはやたらと「消滅」という言葉に反応します。

今週の日経ビジネス11月20日号の特集は「現金消滅」でした。仮想通貨が実現する「現金のない社会」とはどういうものか、多角的に分析した記事が並びます。まあでも、オンラインバンキング取引や、クレジットカードとプリペイドカードでの支払いがメインなら、現金の消滅はすでに日常になっているとも言えます。思考実験としては「仕事消滅」ほどではないかも(と、さりげなく自慢)。

では、何が消滅すると考えれば、思考実験として面白く、未来を先取るするヴィジョンを描けるでしょうか。そういうことを今、考えています。

また来週に!

こんにちは、からまるです。

村上尚己氏東洋経済オンラインランキング.jpg『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』を発売した村上尚己さんの記事が、今日、東洋経済オンラインに公開されました。「「日本は借金まみれ」という人の根本的な誤解 「政府の借金」と「家計の借金」は同じではない」というタイトルです。この日記を書いている時点で、スクリーンショットにあるようにアクセスランキング1位です。

この内容については、本書第六章「本当は国の借金はゼロ」で詳述しています。記事にはありませんが、本書117ページに掲載した「政府、金融機関、家計・企業のバランスシート」という図表を見ていただくと、「政府の借金=国民の資産」であることを視覚的に理解することができます。

ただ、このテーマはつねに論争的です。村上さんの記事にも大量のコメントが付いていて、なかには悪口雑言に近い言葉もあって両陣営が意見を戦わせています。財務省は増税頑張れという声もあります。緊縮財政は経済を縮小させるという声もあります。みなさんはどうお考えでしょうか?

こんにちは、からまるです。

村上尚己さんの『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』(+α新書)は明日発売です。税込み価格は864円です。書店さん店頭で見ていただけましたら幸いです。ここで目次をご紹介しておきますね。

イントロダクション 低成長とデフレは必然なのか?
第一章 近未来小説「ゼロ成長の日本」
第二章 消費者が喜ぶはずの物価下落がなぜ大問題?
第三章 デフレは「人の価値」も下落させる
第四章 若者の貧困化を放置する社会
第五章 「人手不足は悪」報道の正体
第六章 本当は国の借金はゼロ
第七章 経済格差を許容する中高年世代の自己満足感
第八章 バブルから学ばないのは反省し過ぎる人たちだ
結び 緊縮という病

こんにちは、からまるです。

村上尚己さんの+α新書の新刊『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』が来週21日に出るのにタイミングを合わせて、今日、村上さんの寄稿を現代ビジネスに公開しました。タイトルは「日本ゼロ成長、中国6%成長が続いたら、2025年に何が起きるか」

タイトル通りの前提でいくと、2025年の中国の名目GDPは日本の3.5倍になります。IMFの推計値によると、2017年のアメリカの名目GDPは19.38兆ドル、日本は5.11兆ドルですから、アメリカは日本の約3.8倍です。だから、2025年には日本のすぐ隣に今のアメリカくらい日本と格差がある経済大国が誕生することになります。

ちなみに同じ2017年推計値では、中国は12.36兆ドルですから、今の中国は日本の2.4倍くらい。この倍率が3.5倍まで拡大するとしたらどうなるでしょう。中国の現体制が目指している強国路線から考えると、経済力を生かしたものすごい軍事大国が誕生することもありそうです。

村上さんも現代ビジネスの記事で、「今の米国と同規模の経済、軍事力を持つ国が隣に登場するわけだ。米国一辺倒ではなくなり、日本の外交、軍事政策は大きく変わらざるを得なくなるだろう」と指摘しています。まさにその通りだと思います。

こんにちは、からまるです。

鈴木貴博さんの『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』を出したのは8月18日なのですが、その直後から本書にインスパイアされた?かのようにも思えたりするタイトルのキンドル本がけっこう出ています。

最初のタイトルが『AI時代を生き抜く19の人生戦略』。まあこれはサブタイトルが偶然似ているだけなのかもしれません。でも次に出た『仕事消滅のAI時代〜僕たちはどう生きる〜』はインスパイアされたふう(いささか日本語が不自由なふうでもあり)。また、このサブタイトルは昨今強烈なリバイバルブームになっている『君たちはどう生きるか』にもインスパイアされた感が。

で、「新着」タイトルが、『仕事消滅のAI時代の22の成功法則』。ここまで「の」が続くと面妖ですね。

これらのキンドル本は本家『仕事消滅』が出た後にリリースされているので、少しは読んでくれているとうれしいなと思うのですが、じつは本家が出る10日前に『仕事消滅のAI時代を生き残る25のコツ』というタイトルがリリースされています。予約段階で見つけてくれたのでしょうか。瞬発力が素晴らしいですね。

日本の正しい未来見本.JPGこんにちは、からまるです。

昨日のエントリの続きです。村上尚己さん『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』第一章の近未来小説「ゼロ成長の日本」はある試算を前提にしています。それは2025年時点で、日本と中国の経済格差がどの程度開いているかというシミュレーションです。

ですが、このネタはちょっと今日はまだ書くタイミングではないので、明日以降に。

今日は見本が届きました。発売は今月21日、税込み価格は864円です!

こんにちは、からまるです。

昨日のエントリの続きです。村上尚己さん『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』第一章の近未来小説「ゼロ成長の日本」はどういうストーリーなのでしょうか。

時は2025年、主人公は学生時代に友人だった中国人と再会します。それをきっかけに主人公は、当たり前だと思っていた日常に、じつは大変恐ろしい変化があったことに気付かされます。これ以上の内容は、是非実際に本を読んでいただけましたら!

日本の正しい未来.jpgのサムネイル画像小説を書いてくれたライターさんが目指したのは、最初の映画「猿の惑星」のラストシーン。ニューヨークの自由の女神像が傾いて埋まっている場面ですね。今でも忘れられないほど衝撃的でした。

イラストの人物の表情に、かるまるはあのラストシーンでチャールトン・ヘストンが茫然と女神像を見上げている表情をイメージしています。描いていただいたのは「にほへ」さんです。

きっとこのラストシーンは賛否両論だと思います。べつにいいじゃないか、猿が支配してりゃそれはイヤだけど、と思う人も多いでしょう。でもどうなんでしょう。デフレと同じかもしれません。べつにデフレでいいじゃないか、ものの値段が値上がりするよりは、と。

しかし、その時はよくても、見えない変化の先に何があるのか、「失われた20年」でからまるたちは思い知らされたのではないでしょうか。

こんにちは、からまるです。

前回のエントリで、村上尚己さん『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』の表紙をご覧いただきました。帯にまんが風のイラストが入っているのには、ちょっとした経緯があります。

じつはこの本の第一章は近未来小説なのです。経済書の中に小説が入っているのはかなり珍しいと思います。でもからまるにとっては、ずっと以前にある人がそういう構成で原稿を書いてきたことがあって、まったくの初体験ではありません。

では、どうして小説なのか? それはデフレの恐怖を体感していただきたいと思ったからです。

日本の「失われた20年」とも言われるデフレ経済の恐ろしさは、今までのエントリでも書いてきたように、なかなかとらえどころがありません。そのためにデフレを害悪であると問題視しない空気が醸成されているというのが、村上さんの認識です。そのデフレの恐怖を伝える手段として考えたのが、シミュレーション小説なのです。村上さんに基本設定を作成してもらい、それをライターさんにノベライズしてもらいました。タイトルは「ゼロ成長の日本」、イラストはその小説のラストシーンを描いたものなのです。

こんにちは、からまるです。

日本の正しい未来.jpg村上尚己さんの『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』の表紙は写真でご覧のような感じです。+α新書にしては珍しく、まんがテイストの人物イラストが入っています。これには、からまるの思いつきから始まった、ある経緯がありまして。それについては、来週ここに書きたいと思います。

明日はお休みをもらって、大阪です。フィギュアスケートのグランプリシリーズ第4戦のNHK杯を見に行くのです。チケットは抽選だったのですが、運を使い果たしたのか、男女シングルのショートプログラムとフリースケーティングの両方が当選しました。本当に楽しみです。羽生結弦選手はもちろんですが、女子の宮原知子選手はおよそ1年ぶりの復帰戦。あの美しいカロリーナ・コストナー選手を見ることもできます!

というわけで、また来週に!

こんにちは、からまるです。

さらに昨日のエントリの続き。村上尚己さんの新刊『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』制作のお話です。

モノの値段が上がらないのだからデフレでもいいではないか、という思い込みを抱かせる一つは「物価」という言葉にあるかもしれない。そう村上さんは本書で指摘しています。

モノの値段の指標として一般的なものは「消費者物価指数」ですね。その変動をデフレとかインフレとか呼びます。この中に「物価」という言葉があるので、どうしてもスマホやクルマといった「物」の値段をからまるたちは思い浮かべます。しかし総務省統計局が、消費者物価指数とは「全国の世帯が購入する財やサービスの価格の平均的な変動を測定するもの」と定義するように、この「物価」の中には、たとえば東京ディズニーランドの入園料なども当然、含まれます。

東京ディズニーランドでは、たしかにおみやげなどの「物」を買うでしょうが、入園者はまずそこで働く人々のサービスを楽しみます。これを「物価」と呼ぶのは、なんとなく違和感を抱くのではないでしょうか。人生を満足させるエクスペリエンスを与えてくれる人には、自然と価値を認めると思うのです。それを「物」と同じように「安ければ安いほどいい」と考えるでしょうか。たしかに「物価」という言葉のイメージからはなれて考えたほうが、デフレの問題はわかりやすいのだと思います。

このことも、経済のことがわかっているようでよくわかっていないからまるには、じつに新鮮な事実でした。経済の基本認識、というかそれ以前の「超基本認識」が、村上さんのお話を伺っているうちに、どんどん変わっていきます。

こんにちは、からまるです。

昨日のエントリの続きです。どうしてデフレがよくないのかわからない。大量生産・大量消費でムリに経済成長させる意味がわからない。そんな疑問を村上尚己さんにぶつけていくと、村上さんのような専門のエコノミストの世界ではあまりに当たり前過ぎてわざわざ言うまでもないことを、からまるたちがまるでわかっていないことに気付いてもらえます。

経済成長の指標はGDPの伸び率です。で、からまるたちは何となく「もうモノはじゅうぶんにあって、買いたいものなどないのだから、GDPが伸びることなどないのでは?」と思っていました。ところが、GDPのうちモノが占める割合は4割で、あとの6割はサービスです。サービスを支えているのは人間ですから、そのほとんどは人件費=「人の価値」ということになります。だから、GDPの伸び率がものすごく低いのは、人の価値がぜんぜん上がっていないと言い換えられます。

いつからか、からまるたちは、たとえばサラリーマンなら「給料はほとんど上がらないもの」、アルバイトなら「時給は滅多に上がらないもの」と思い込んでいます。デフレが20年以上続くことで、給料がどんどん上がる時代を忘れてしまっています。たしかにモノの値段が安いから日常生活には不自由しません。では、どうして老後不安を多くの人が感じているのでしょうか。「今より経済状態がよくなって、給料も増えている」なんて信じられないからだとしたら?

デフレは「人の価値」を毀損している。今の日本経済は現役世代の貧困化に支えられている。そうおっしゃる村上さんのお話に、からまるたちは大きくうなずいたのでした。

こんにちは、からまるです。

前のエントリで怒濤の原稿ラッシュのため8日再開と書きましたが、すこし落ち着いたので、今日から再開です。

さて、先月26日に書いた、村上尚己さんの新刊『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』(+α新書11月刊)の制作で、ご本人が書くのに、その準備としてインタビューを村上さんにわざわざ受けていただいた件。からまるがインタビュアーをお願いしたのは、30代の女性ライターさんです。というのも、「逃げ切り」可能な中高年世代よりも、これからの日本経済がどうなるかについてシリアスに考えざるを得ない世代の、しかも「昼ワイドの視聴者」の感性を持てる人に引き受けてもらいたかったからです。

村上さんの著作の読者であればわかるように、村上さんの持論は、日本の長期デフレが世界的にみてひじょうに特異な現象であること、それは経済・財政当局の経済政策の失政によってもたらされたこと、デフレのマイナス効果を一身に背負うことになっているのは世代間格差に苦しむ若年世代であることです。しかし、意外とこの世代の人は、物心ついたころからデフレが当たり前なので、さして疑問を感じなかったりします。むしろインフレでモノの値段が上がることはイヤだと思いますし、「経済成長」がそんなに重要なことなのか実感をもつことができません。

そうすると、村上さんの持論にもうひとつ腹オチしないところがあります。どうしてデフレがよくないのか、わからない。家庭にはモノがあふれ、シェアリング・エコノミーに共感し、モノを所有したいとはそれほど思わない。大量生産・大量消費でムリに経済成長させる意味がわからない。そういう認識をもって、あえて村上さんのお話に疑問をはさんでもらいました。

こんにちは、からまるです。

今日から再開と書きましたが、怒濤の原稿ラッシュでうれしい悲鳴を上げています。そのため再開を1週間延期し、来週の8日ということで!

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